1988 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツ大衆社会成立期における文化構造の転換-技術変化と生活感覚変容の総合的研究
Project/Area Number |
63300001
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
横田 ちゑ 千葉大学, 教養部, 教授 (00009359)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長田 謙一 千葉大学, 教養学部, 助教授 (20109151)
三宅 晶子 千葉大学, 教養部, 助教授 (50157608)
忽那 敬三 千葉大学, 教養部, 助教授 (70192028)
山内 正平 千葉大学, 教養部, 助教授 (60092110)
田中 健夫 千葉大学, 教養部, 助教授 (20092067)
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Keywords | 世紀転換期 / ユーゲントシュティール / 複製技術 / ダダ / ドイツ近代建築 / 田園都市 / 西欧受容 / 非合理主義 |
Research Abstract |
今年度の共同研究においては主として以下の6点について討議され、新たな知見が得られた。 1.19世紀後半の歴史主義は既に、〈時代からの様式の自由〉、〈様式のカタログ化〉という事態を表していたが、ユーゲントシュティールはそれを一歩進めて〈様式からの形の自由〉をもたらし、既に進行しつつあった〈様式の死〉を完成させた。それはその後の近代デザインの地平を切り拓くものであった。2.このプロセスには、当時流布しつつあった複製技術(写真)が大きな役割りを果たしている。写真から今日の映像文化・コンピューター文化に至る複製技術を、複製→他文脈への搬入という〈引用メディア〉.として捉えなおすとき、我々は近代→現代における様々な文化現象を、引用機能の増大という観点から捉えてゆくことができる。3.技術変化に伴う感覚変容は、文学作品においても検証することができる。たとえば、フォンターネヤリリエンクローンの叙情詩に現われた鉄道のモティーフの分析、また、その後のダダ文学における音声誌(バル、ハウスマン等)の分析によって、きわめて具体的に把握される。4.建築に関しては、ドイツにおける近代建築・都市計画の展開をジッテ、シュトゥッベンの理念を対比させつつ検討し、さらに、「田園都市」運動にあった思想と経済をテッセノウを具体例として考察した。5.また、日本における西欧受容の問題を、具体的な建築・都市調査(田園調布・福岡・横浜・大倉精神文化研究所)を通して考察した。6.新カント派とフロイトの思想に様々の点で合理主義と非合理主義両方の面があることを見出し、討議した。7.第一機械時代における感覚変容(1920年代)を経て、現在我々の感覚は、既に第二の波-電子テクノロジー時代における感覚変容の波-に洗われつつあることが確認された。
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[Publications] 檜山哲彦: ユリイカ. 6. (1988)
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[Publications] 増谷英樹: 歴史学研究会. 585. 13-15 (1988)
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[Publications] 増谷英樹: 人民の歴史学. 13-24 (1989)
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[Publications] 三宅晶子: 美と形. 101-127 (1989)
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[Publications] 三宅晶子: ブックガイド'89. 148-149 (1988)
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[Publications] 三宅晶子: ユリイカ. 6. 256-259 (1988)
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[Publications] 三宅晶子: Kula. (1988)
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[Publications] 山内正平: 千葉大学教養部研究報告. A-21. (1988)
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[Publications] 横田ちゑ: 千葉大学教養部研究報告. A-21. (1988)
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[Publications] 佐藤健生: 歴史評論. 460. 26-39 (1988)
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[Publications] 佐藤健生: 歴史読本ワールド. 12. 111-111 (1988)
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[Publications] 佐藤健生: 世界. 522. 64-73 (1988)
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[Publications] 田辺秀樹: 都響月報. 48. 18-21 (1988)
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[Publications] 田辺秀樹: ライジング. 10. 74-76 (1988)
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[Publications] 田辺秀樹: 劇場芸術. 11. 111-111 (1988)
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[Publications] 長田謙一: 教育. 38-13. 8-19 (1988)
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[Publications] 長田謙一: 1920年代・日本(展覧会カタログ). 250-265 (1988)
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[Publications] 永原陽子: 歴史学研究. 581. 27-39 (1988)
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[Publications] 永原陽子: 千葉史学. 12. 89-116 (1988)
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[Publications] 檜山哲彦: 国文学臨時増刊. 3. 111-111 (1988)
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[Publications] 谷川道子: "聖母と娼婦を越えて-ブレヒトと女たちの共生-" 花伝社, 350 (1988)
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[Publications] 田辺秀樹: "キャバレーの文化史(II)(共訳)" ありな書房, 381 (1988)