1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63301006
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Research Institution | Tokyo University |
Principal Investigator |
濱井 修 東京大学, 文学部, 教授 (00012360)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 忠彰 東京大学。文学部, 助手 (10220386)
中野 敏男 茨城大学, 教養部, 助教授 (10198161)
関根 清三 東京大学, 文学部, 助教授 (90179341)
高幣 秀知 北海道大学, 文学部, 助教授 (00146995)
平田 俊博 山形大学, 教育学部, 助教授 (60113974)
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Keywords | 人格論 / 正常性 / イデオロギ- / ヒュ-ム / シェ-ラ- / ハルトマン / 道徳的人格 / 人格の同一性 |
Research Abstract |
1.前年度に引き続き、「人格」概念ならびにそれと関連する諸問題の学説史的一理論的反省・再検討を、各分科会での発表・討論およびそれを経ての全体研究会における討論のかたちで続行した。全体研究会では、「現象学」の観点から人格とその「正常性」の問題を扱った論考、旧約聖書における神と人間との人格的応答関係を、「善悪の知識の木」の象徴的意味を解明しつつ浮彫りにした論考、宗教、道徳およびイデオロギ-一般の問題のルカ-チの視点からの解明を試みた論考新約聖書におけるパウロの救済史観と人格問題との関わりを取りあげた論考、現代科学論と人格論との接点に着目した論考え、プラトンの勇気と徳の一性観を解明した論考、が報告され、討議された。また、各研究分担者ならびに協力者は、それぞれの専門とする研究領域から人格問題と関連するテ-マを取りあげ、各分科会での討議を経て、論考を公表している(研究成果報告書の研究発表一覧および付録論文集(1)〜(3)参照)。 2.研究成果報告書掲載用にオリジナル論文が八篇作成された。これらのうち四稿は、意識内在的に閉塞する「人格」の近代的な実体論的了解の解体への口火を切ったヒュ-ムの人格論の解明、このヒュ-ムによって独断の夢を覚まされたカントの「道徳的人格」の孕む問題性の剔択、そしてカントの形式主義といわゆる実証的科学至上主義一般の歪みを批判するシェ-ラ-の議論の考察、さらにはこのシェ-ラ-とハルトマンとの人格をめぐる論争を回観しつつ、人格論的問題構制の出発点の確定、という問題史的連関を呈示したものであり、他の四稿は、「人格の同一性」をめぐる現代的論議の整理、従来看過されがちであった人格論プロパ-の問題構制がもつ内容的奥行の照射を試みたものであるといってよい。
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[Publications] 濱井修: "「新カント主義者」ウェ-バ-について" 理想. 643号. 67-70 (1989)
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[Publications] 平田俊博: "柔らかい合理主義コミュニケ-ション的理性と新カント主義" 理想. 643. 52-62 (1989)
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[Publications] 川本隆史: "現代生物学とバイオニポリティックス-「社会生物学論争」をめぐって" 『姓名倫理の現在』(塚崎智、加茂直樹編). 90-109 (1989)
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[Publications] 細見博志: "医療倫理と哲学-<操作主義的生命観>と<イデオロギ-としての医療倫理>批判のために" PTジャ-ナル. 23-11号. 785-791 (1989)
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[Publications] 森岡正博: "人称の存在しない世界-「主客未分」再考" 季刊仏教. 8. 119-126 (1989)
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[Publications] 山本耕一: "市民社会における個人と社会統合" 『ヘ-ゲル社会思想と現代』(城塚登,濱井修編). 161-176 (1989)
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[Publications] 上利博規: "倫理のプロブレ-マ-精神的成熟をはばむ現代の社会" 梓出版社, 171 (1989)