1988 Fiscal Year Annual Research Report
日中美術の比較研究-8世紀以降の絵画と彫刻を中心に-
Project/Area Number |
63301011
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Research Institution | Jissen Women's University |
Principal Investigator |
松原 三郎 実践女子大学, 文学部, 教授 (10052599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相武 啓子 実践女子大学, 文学部, 専任講師 (80141125)
小林 宏光 実践女子大学, 文学部, 専任講師 (40195805)
宮 次男 実践女子大学, 文学部, 教授 (10000449)
戸田 禎佑 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (50012985)
平田 寛 九州大学, 文学部, 教授 (00036980)
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Keywords | 日中古代彫刻史 / 東アジア古代仏画 / 絵巻 / 宋朝様 / 宋代仏画 / 中国水墨画史 / 明代版画 |
Research Abstract |
本研究は日中美術の比較研究というテーマのもとに中国彫刻史、日本彫刻史、中国絵画史、日本絵画史の専門家が各自の専門分野の成果をふまえ、従来のような一方的な影響論に終始することなく、中国からの影響の実体を多角的に検討し、それによって「日本化」の問題に新たなる意味付けを与えることを目的としている。本年度は、上記のような問題設定にそって、方法論の再吟味と新たな資料収集の努力が重ねられた。松原三郎は、八、九世紀における日本・中国彫刻史を文献をもとに比較考証し、問題の多い古代東アジア彫刻史に方法論的に新たな視点を開くともに、新たな資料を多数発掘した。百橋明穂は長年の敦煌石窟壁画研究をふまえ、それらと同じく古代東アジア仏教文化圏で生まれた日本の絵因果経の様式的研究を行なった。宮次男は、室町以降の法華経絵と明版の比較という、今までに研究がほとんど行なわれていない分野に取り組み、その成果を「実践女子大美学美術史 四号」に発表した。三宅久雄は鎌倉彫刻史における宋朝様を主として慶派を中心に追及し、問題点の一部を昭和63年度美術史学会全国大会のシンポジウムでパネリストとして発表した。平田寛は、如来像と菩薩像を中心に宋代仏画と平安時代末期以降の日本の仏画を図像学的及び様式的に比較し、十二、三世紀の仏画界における宋画影響の特質を解明した。戸田禎佑と高見沢明雄は宋元画と南北朝及び室町期の水墨画の比較研究を行なった。。戸田は永年の中国絵画研究をふまえ、南北朝期の道釈画についての新しい解釈を提案し、高見沢は雪舟の中国留学の実体を考察した。小林宏光と相武(筆者仲町)啓子は、明清画と桃山江戸時代絵画の問題に取り組んだ。小林は、江戸時代の『画筌』と明末版本の図像学的な研究を行ない、相武は、宋達・光琳派の水墨画と『仙仏奇踪』の問題を考察し、鎖国下の江戸画壇がいかに貧欲に外国の文化を吸収していたかを実証した。
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