1988 Fiscal Year Annual Research Report
現下わが国における地域社会再開発に関する文化変動論的基礎研究
Project/Area Number |
63301018
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
布施 鉄治 北海道大学, 教育学部, 教授 (90001776)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 晃 高知大学, 一般教養部, 教授 (00117003)
酒井 恵真 札幌学院大学, 人文学部, 教授 (80073493)
岩城 完之 山梨大学, 教育学部, 教授 (10001794)
安原 茂 成蹊大学, 法学部, 教授 (70054286)
道又 健治郎 北海道大学, 教育学部, 教授 (80000628)
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Keywords | 地域社会再開発 / 都市 / 農村 / 地域産業 / 住民生活 / コミュニティ / 地域分化 / 社会開発 |
Research Abstract |
第1年度は、北海道帯広市・東京都、及び、四国高知市において本調査を実施した。 東京都においては、当初、葛飾区調査を予定していたが、都内各区の基礎構造分析の結果、墨田区を調査対象地区とした。当区は、江戸時代から、日本橋、及び、浅草の影響下にあり、所謂下町の伝統をもち、明治以降の日本資本主義発展下、労働者街となり、関東大震災、及び、東京大空襲によって大災害をうけた。現在、産業基盤としては、ニットを初め繊維、ゴム、袋物、各種雑貨、そして機械金属とりわけ金型生産において、すなわち大都市東京における消費者向け雑貨の主産地である。墨田区は零細企業が多く、北部(向島)の機械金属地区では殆どが職住同居、道路も旧来の村落の形態である。南部のニット地区(本所)では、業者の本社化(生産機能は地区外)が進んでいる。同時に北部では、旧大工場跡地で、公営・高層住宅地帯が生まれつつある。 この地区の地域開発の特徴は、(イ)地域再開発が、即、地区零細産業基盤の再編と結びついていること、(ロ)地域再開発が、即、防災計画と直結していること、(ハ)その中で住民各層の生活に結びついた都市社会再開発が望まれていること、にある。 北海道十勝の中心都市二帯広は、農村市街地都市である。わが国では唯一、大型機械化畑作農業が地帯として形成されている。ここでの地域再開発の問題は、農村地帯との関係を抜きにしては分析できない。その中での都市再開発が問われている。 現在、わが国都市の中で製造業の集積が最も少ない四国高知市においても事態は同様である。ただしここでは、山間部に中国から縫製家庭内職が入り、集落社会の解体が進み、平場ではビニールハウス栽培が展開している。こうした中での地域再開発は、十勝型とは異なる。
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