1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63301030
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
羽田 新 明治学院大学, 社会学部, 教授 (20062101)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 純一 流通経済大学, 社会学部, 専任講師 (50213830)
長濱 一夫 同朋大学, 社会学部, 専任講師 (20189153)
合田 邦雄 関東学院大学, 文学部, 助教授 (30148027)
中泉 啓 日本大学, 文理学部, 助教授 (70096866)
内藤 辰美 山形大学, 教養部, 教授 (00064098)
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Keywords | 伝統工芸 / 焼き物 / 現代化 / 産地構造 / 伝統意識 |
Research Abstract |
本年度は、前年度に引き続き焼き物の主要産地の現状についてのヒヤリングを実施すると共に、特に備前焼と萩焼の両産地については窯元、作家の属性、職業特性、労働意識等に関する個別面接調査を行い、その社会経済構造や精神的風土の特徴を明らかにする作業を進めた。その結果の要点は次の通りである。 1.窯元、作家の属性は、備前焼が40歳台後半から50歳台が多いのに対して萩焼では30歳台後半と40歳台が多く、従って経験年数も前者の方が多い。また、備前焼では親子代々焼き物に従事する形が中心であるのに対して萩焼では焼き物とは関係のない仕事からの参入者が多く一代限りという点で対照的である。 2.職業特性としては、備前焼では大半が作家であるのに対して萩焼では窯元が半数近くを占め、工芸的志向が強い前者に対して後者では事業的性格が強いという特徴が見られる。また備前焼が登窯による花器中心の焼成であるのに対して萩焼ではガス窯による茶器中心の焼成で、販路も前者の直接販売に対して後者は陶商への卸しが主である。 3.窯元、作家の意識の特徴は、仕事中心でこれに生きがいを感ずる者が圧倒的に多いことである。仕事のやりがい意識や経験・能力の発揮感がきわめて高く、仕事の内容・責任の満足度も高い。伝統に対する態度は、伝統をふまえながらも製品や作品のなかに自分なりの新しさを出したいとする考え方が中心で、伝統にとらわれたり伝統を無視したりするという態度は少数派である。 今後の研究計画は、比較の視点からさらに愛知県の赤津焼について同様の調査を行ない、これまでの調査結果と照合の上伝統工芸の現代化の動向を明らかにして、これに対する政策を考える上で参考となるような方向で理論的統括を行なう予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 羽田新ほか: "伝統工芸の現代化に関するヒヤリング記録(1)-陶芸器産地を中心として-" 社会学・社会福祉学研究. 第82号. 139-162 (1989)
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[Publications] 羽田新ほか: "伝統工芸の現代化に関するヒヤリング記録(2)-陶芸器産地を中心として-" 社会学・社会福祉学研究. 第83号. 1-56 (1990)
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[Publications] 羽田新ほか: "笠間焼の産地構造と窯元・作家" 社会学・社会福祉学研究. 第84号. (1990)