1990 Fiscal Year Annual Research Report
自動車産業労働者の労働・生活と地域社会構造に関する総合的研究
Project/Area Number |
63301031
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
辻 勝次 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (60066719)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜岡 政好 仏教大学, 社会学部, 教授 (80066422)
小山 陽一 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (20066608)
中川 順子 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (90074103)
木田 融男 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (50094503)
中川 勝雄 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (60102159)
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Keywords | トヨタ自動車 / 豊田市住民 / 地域社会権力構造 / 地域社会団体 / 自治区 / 管理社会化 / 自動車産業政策 |
Research Abstract |
1.今年(1990)度は、今時3か年補助金の交付3年度目にあたるので、過去2年間に行った研究を総括し、報告書を執筆・作成することを当研究会の中心課題にした。このための研究会をほぼ2カ月に一回程度開催しつつ、9月には、(1)地域権力構造、(2)社会団体、(3)自動車産業政策に関する補足調査を豊田市域において行った。また10月の日本社会学会においては「企業の地域支配と住民諸階層の地域生活」のメイン・テ-マの下に、過去2年間の地域研究の発見事項について3名が報告を行った。 2.これらの研究活動によって明かになった新しい知見は次のようである。(1)巨大企業としてのトヨタ自動車は豊田市を支配しているが、住民の側にもこの支配を積極的にまたやむをえないとして受容する傾向があり、全体として「管理社会化」が進んでいる。ここでの最大の問題点はトヨタが期待し要求する以上のレベルで住民側がトヨタの支配に迎合していることであり、この点の解明が今後の課題である。(2)80年代をとおしてトヨタ自動車は国際的な展開を進めたが、欧米での工場経営の経験から学ぶことで、「世界企業にふさわしい地域社会形成」に関心をもつようになっており、都心再開発や地域文化活動への支援にそれが現れている。(3)豊田地付き住民には、地域生活要求に根ざした着実な活動が見られ、自治区は民主的な住民組織として機能する可能性を持っている。ここでの重要論点はトヨタ従業員のなかにも、地域住民としてはトヨタの地域支配に不満を表明する層が存在することである。(1)の残された課題と並んで「管理社会化」の内容分析が必要である理由である。 3.これらの知見は近く公刊を予定している『巨大企業体制と地域社会』において、理論的また実証的に体系化されるだろう。
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Research Products
(1 results)