1988 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚障害児の主体的な聴覚活用の学習の研究-早期教育におけるプログラムの開発-
Project/Area Number |
63301043
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Research Institution | National Institute of Special Needs Education |
Principal Investigator |
今井 秀雄 国立特殊教育総合研究所, 聴覚・言語障害教育研究部, 部長 (30000285)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大沼 直紀 筑波技術短期大学, 教育方法開発センター, 教授 (20169022)
舘野 誠 小林理学研究所, 補聴研究室, 研究員
金山 千代子 小林理学研究所, 母と子の教室, 主任 (10090929)
吉野 公喜 筑波大学, 心身障害学系, 助教授 (80092659)
田中 美郷 帝京大学, 医学部, 教授 (70082013)
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Keywords | 聴覚障害児 / 聴覚活用 / 主体的学習 / 注意集中 / 内発的動機 / 聴能訓練用教具 / 補聴システム |
Research Abstract |
1.残存聴覚の活用に関する神経学的検討 誘発電位、脳血流量、PET等による実験結果より検討すると、ある感覚からの刺激受容に際しての注意集中は、他感覚からの受容に対しての中枢の抑制作用によって生じていることが確かめられた。従って聴覚単感覚法は聴能の発達促進には合理的な方法であり、また主体的な活動は必然的に注意集中を促すと考えられる。 2.内発的動機の開発に関する心理学的検討 内発的動機を高めるには、本人の好奇心、積極性を高めると共に、環境の応答性等を考慮することが必要である。発達的観点からは、動機に対して自ら環境を調整していく過程を重視し、また知的機能、感情などとのかかわりを視点に含めていく。 3.聴覚活用の学習プログラムの検討 現在のプログラムは主として聴機能、音素材の分析の視点から作られ、結果的には子供にとって受身的となり、また子供の発達にかかわる現実性にも乏しいことが分析された。従って、発達段階に即し、興味・関心が誘起され、また繰返しの可能性のある活動を配列することとした。各研究協力機関における子供の行動記録からそれらの活動を蒐集した。現在プログラムとして整理中である。 4.応答的教材作成と環境設定に関する検討 子供が興味をもって積極的に音にかかわりながら素材を操作する活動として、スライド或いはパソコンによる絵の表示と音とを関連させる活動を選択した。教具・教材を作製し、その効果を検討中である。 5.聴覚活用のための最適な補聴システムの検討 聴覚活用のためには音が十分に域値上であることが必要であるが、聴力レベル100dB以上では困難が多い。無線波の使用を検討する。
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[Publications] 田中美郷 他: 音声言語医学. 29. 258-266 (1988)
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[Publications] 吉野公喜: きこえとことばモノグラフ. 10. 25-60 (1989)
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[Publications] 金山千代子: 聴覚活用ハンドブック(心身障害児教育財団). (1989)
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[Publications] 舘野誠: Audiology Japan. 31. 495-496 (1988)
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[Publications] 田中順子: Audiology Japan. 31. 317-318 (1988)
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[Publications] 大沼直紀: 電子情報通信学資料H2-. 1-6 (1989)
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[Publications] 今井秀雄 編著: "聴覚活用ハンドブック" 心身障害児教育財団, (1989)