1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63301046
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
真野 俊和 上越教育大学, 学校教育学部, 助教授 (10171076)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西海 賢二 東京家政学院大学, 人文学部, 講師
鈴木 正崇 慶應義塾大学, 文学部, 助教授 (10126279)
佐藤 憲昭 駒澤大学, 文学部, 助教授 (50102687)
宮本 袈裟雄 武蔵大学, 人文学部, 教授 (40015889)
櫻井 徳太郎 駒澤大学, 文学部・学長, 教授 (30015341)
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Keywords | 民俗宗教 / 山岳宗教 / 聖地巡拝 / 死霊供養 / 両墓制 / 民間宗教者 / 憑き物信仰 |
Research Abstract |
本研究は、地域社会における民俗宗教の構造と文化変容について論議するために立地条件の異なる福島県会津地方、福井県若狭地方、および徳島県地方の現地調査に基づいて比較研究を行なうものである。本年度は徳島県を重点的に調査を進めるとともに、前年度実施した会津と若狭の補充調査を実施した。以下、研究成果の概要をまとめておきたい。 徳島県地方では、主として吉野川流域を中心に共同調査を実施し、(1)四国八十八ヵ所遍路の現状、(2)弘法大師信仰の拡がり、(3)金刀比羅宮の奥の院といわれる箸蔵寺(池田町)の実態、(4)犬神・狸憑きといった憑き物信仰、(5)美馬郡の村々にみられる「氏堂」といわれる宗教施設の機能、などの諸点について把握できた。それから、三つの地方の比較研究によって明らかにできた問題は次のとおりである。 (1)山岳宗教を中心とした登拝講。会津地方では出羽三山、飯豊山、磐梯山、大山祗神社(西会津町野沢)、古峯ヶ原(栃木県)などがあり多様な展開を示している。(2)聖地巡拝。徳島県地方には四国遍路、会津地方には会津三十三観音巡礼がみられる。(3)死霊供養の聖地。会津では河東村八葉寺、四国では香川県三野町の弥谷山が死霊供養に参詣する聖地として発達している。いずれも歯骨・遺髪を入れた五輪塔を奉納する習俗がみられた。(4)両墓制。若狭地方では両墓制が顕著であり、徳島県では小松島市、那賀郡、海部郡といった太平洋岸地域に分布している。(5)民間宗教者。いずれの地域にも巫者(シャ-マン)が存在し、また修験者の活動がみられる。(6)その他。若狭地方では、神社祭祀の宮座組織が発達し、小祠のニソの杜信仰、仏教民俗の六斎念仏がみられ、徳島地方では、池田町の箸蔵寺の金毘羅講が東海地方を中心に各地に拡がっている。また徳島県の西北部一帯に犬神・狸憑きの信仰が顕著にみられる。
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