1990 Fiscal Year Annual Research Report
光学天体と電波天体による天文座標系の結合に関する研究
Project/Area Number |
63302008
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
宮本 昌典 国立天文台, 位置天文天体力学研究系, 教授 (30012850)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平林 久 宇宙科学研究所, 衛星応用工学研究系, 助教授 (90012880)
木下 宙 国立天文台, 位置天文天体力学研究系, 教授 (00012857)
横山 紘一 国立天文台, 地球回転研究系, 教授 (10088784)
石田 慧一 東京大学, 理学部・天文学教育研究センター, 教授 (80012839)
中川 一郎 京都大学, 理学部, 教授 (70025279)
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Keywords | 天文基準座標系 / 位置観測星表 / 地球回転パラメ-タ / 光電子年環 / VLBI |
Research Abstract |
この総合研究は、光学天体と電波天体の位置と運動を高精度で記述するために、地球・力学・恒星・電波基準座標系を結合して、唯一の天文基準座標系を組み立てることである。具体的には次の作業が必要であった: (1)現用の光学基準座標系FK5を微光星へ拡張すること。 (2)QSOによる電波基準座標系を均一精度で全天域に拡張すること。 (3)電波基準座標系に準拠して地球の向きを精密監視すること。 (4)観測の高精度化に対応して、天文基準座標系の概念(理論)を再構築すること。 (1)に関連して、「太陽系天体・FK5星・微光星結合班」は、国立天文台自動光電子午環を用いて、大量の恒星・太陽系天体およびQSOのまわりの微光星の位置観測を続行し、限界等級12等までの位置観測星表を編集した。これに基づき光学・力学基準座標系を改良しつつある。更に暗い恒星の高精度位置観測を可能とするため、CCDマイクロメ-タの開発が進められ、一方では、次期位置天文観測装置として宇宙ステ-ション塔載の光学位置天文観測装置の計画が胎動し始めた。さらに、「微光星・電波天体結合班」は東大木會観測所シュミット望遠鏡を用いて、微光星に準拠したQSOの光学位置の精密測定法を開発している。 (2)と(3)に関連して、「電波天体・地球結合班」と「地球回転・動的地球研究班」は、国立天文台および通信総合研究所の電波望遠鏡を用いて、IRISーP(太平洋VLBIネットワ-ク)やORTHOと称される国際的な定常・集中観測が行われ地球回転パラメ-タを決定した。また、南天局まで含む国際共同観測により、全天測地電波源カタログが整備されつつある。 (4)に関連しては、一般相対論をも導入して、天文基準座標系の基礎となる諸概念(時刻系、空間座標系、天文定数系、章動)を整理・改定するための勧告案を1991年7月の国際天文学連合総会に提案すべく広範な検討を行なった。また、太陽系天体運動研究班は、力学・電波基準座標系の直接結合を目指すと共に、タイミング信号を新たな時計として利用するために、国立天文台では74インチ反射望遠鏡と45m電波望遠鏡を用いてパルサ-のタイミング観測が続けられた。通信総合研究所では34m電波望遠鏡を用いてパルサ-タイミング計測システムを整備しつつある。 以上に係る具体的成果は、当総合研究主催の総合研究会「地球基準座標系、力学基準座標系、恒星基準座標系および銀河系外基準座標系の結合(III)」集録におさめられている。 今年度が当総合研究の最終年次に当っていたが、研究課題にかかげた「光学・電波基準座標系の結合」は、未だ±1masの精度では完成しなかった。解決すべき個々の具体的問題が予想外に多かったことによる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] M.Miyamoto,S.Suzuki: "A Source of Systematic Error,△δα,in Absolute Catalogs Compiled from Meridian Circle Observations" IAU Colloq.No.127,“Reference Systems",in press. (1991)
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[Publications] M.Yoshizawa,S.Suzuki: "The Tokyo PMC Catalog 87:Catalog of Positions of 5842 Stars Observed in 1987 with Tokyo Photoelectric Meridian Circle" Publ.National Astron.Obs.Japan,in press. 2. (1991)
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[Publications] M.So^^<^>ma,S.Aoki: "Transformation from FK4 system to FK5 system" Astron.Astrophys.240. 150-158 (1990)
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[Publications] H.Kinosita;H.Yoshida;H.Nakai: "Symplectic Integrators and Application to Dynamical Astronomy" Celestial Mechanics,in press. (1991)
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[Publications] K.Yokoyama: "地球回転への応用ー国際地球回転観測事業と西太平洋電波干渉計ー" Review of the Communications Research Laboratory,36,Special Issue. 36. (1990)
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[Publications] Y.Takahashi: "The Catalog of Sources for Geodetic VLBI from Experiments which Kashima Station Participated in" to be published in Journal of the Communication Research Laboratory. (1991)