1989 Fiscal Year Annual Research Report
耕地生態系における物質およびエネルギ-の動態と生産ポテンシャル
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63304012
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
中條 博良 大阪府立大学, 農学部, 教授 (80081488)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 源一 大阪学院短期大学, 国際文化学科, 教授 (00030362)
橋川 潮 滋賀県立短期大学, 農学部, 教授 (50074042)
堀江 武 京都大学, 農学部, 教授 (90181528)
竹内 史郎 近畿大学, 農学部, 教授 (00088155)
丹下 宗俊 神戸大学, 農学部, 名誉教授 (40031158)
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Keywords | 耕地生態系 / 微気象 / ^<14>N / ^<13>CO_2 / 分配 / 転流 / 施肥効率 / 生産効率 |
Research Abstract |
水田生態系、畑生態系、草地生態系における物質およびエネルギ-の動態の解明について第2年目の取り組みを行い、次の成果を得た。 1.水田生態系……(1)水稲における吸収窒素の分配には、分げつの次位に基づく系譜的な一定の順位が存在することを確認した。(2)窒素の分配は、同一器官(葉身)においても、先端と基部、中肋の左右の部位によって異なることを明らかにした。(3)根圏域を拡大するにつれ、また、窒素の追肥時期が遅れるにつれ、窒素の穂への分配率が高まることを明らかにした。(4)肥効期間の長い緩効性肥料の効率的な利用と、分施による後期重点施肥は、登熟期の生長を助長して生産効率を高めることを明らかにした。(5)水稲の生産ポテンシャルに及ぼす施肥窒素の影響について評価モデルを開発し、その適合性を検証した。(6)大型水田における微気象を調査し、圃場の周辺近傍における葉温の変動傾向が著しく大きいことを確認した。 2.畑生態系……(1)トウモロコシ-オオムギ連作稲の炭素収支、とくに土壌中の有機物の動態について検討した。(2)ダイズの開花と結実への土壌水分の影響を調査し、乾燥による阻害機構を明らかにした。(3)硝酸イオンはダイズの根粒着生を阻害し、窒素の固定能を低下させることを明らかにした。(4)コムギにおける窒素の追肥時期による窒素の動態と生産効率の差異を明らかにした。 3.草地生態系……(1)アルファルファに対する窒素の葉面散布における窒素の分配動向を明らかにした。(2)マメ科作物の根粒表層部または維管束部におけるリグニン層またはペクチン層の発達は、作物の種類によって大きく異なったが、この差異と根粒からの窒素の放出との関連性についてはさらに検討の必要性を確認した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 丹下宗俊: "水稲苗における移植後の窒素の吸収と分配" 日本作物学会記事. 57(別1). 15-16 (1988)
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[Publications] 堀江武: "生育診断予測の意義と方法" 日本作物学会記事. 58. 460-465 (1989)
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[Publications] 白岩立彦: "早植水稲の多収生育相に関する研究(9)栽培条件の異なる水稲の茎葉部炭水化物の消長" 近畿作物・育種研究. 35. (1990)
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[Publications] 平井源一: "水稲生育における水田内の水平的差異と微気象 第2報 大型水田における水稲個体群の葉面温度(葉温)の垂直分布について" 日本作物学会記事.
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[Publications] 奥村俊勝: "追肥時期の違いがトウモロコシの追肥窒素の体内挙動と吸収率に及ぼす影響" 近畿作物・育種研究. 34. 13-18 (1989)