Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山村 行夫 聖マリアンナ医科大学, 教授 (40081658)
真鍋 重夫 東京大学, 医学部(医), 助教授 (90165928)
堀口 俊一 大阪市立大学, 医学部, 教授 (60046828)
島 正吾 藤田学園保健衛生大学, 医学部, 教授 (40084511)
石西 伸 九州大学, 医学部, 教授 (80037340)
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Research Abstract |
本年度は最終年であり,過去の研究の総括を行い,まとめを行った。 (1)発癌性に関しては,Ga,As,Inのハムスタ-気管内投与実験の最終観察を行った結果,平均体重で投与群は低い値を示したが,腫瘍の発生はみられなかった。しかし,肺胞への粉塵の沈着や広範な気管支上皮の増殖がみられ注目された。 (2)免疫毒性に関しては,Be,Pt,Ni投与マウス脾中の抗原非特異的IgG産生細胞数は増加を示した。その程度はNi>Pt>Beの順であった。しかし,Zr,Co投与マウスでは変化がみられなかった。長期投与でも同様の変化がみられた。 (3)一般毒性では,Geと腎障害との関係で,腎炎ラットで投与後のGeの各臓器内濃度は対照より大であり,Geの排泄臓器の腎障害がGe毒性に影響することが推定された。 (4)新しい化学物質としてド-パントに用いられているトリエチルアルシンについて毒性学的研究を行ったところ,LD_<50>は,経口投与で760mg/kg,皮下投与で720mg/kgであった。75mg/kg1回投与で,投与第1,第3日目で,血液のヘマトクリット値,ヘモグロビン値,赤血球数,平均赤血球容積で対照より有意の低下がみられた。またCPC試験で,溶血性は全く認められなかった。これらのことから,トリエチルアルシンは,アルシンより毒性が低いことが示されたが,トリメチルアルシンよりは約10倍の強い毒性を示した。 (4)三酸化アンチモンは,弱いが赤血球膜浸透圧抵抗に変化を示した。SbとBeはV79細胞のSCE誘起性を示した。 以上の如く,化学物質によって種々の特異的影響が示され,これらを指標に予防医学への道が開かれるものと思われる。
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