1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63304063
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
木島 博正 九州大学, 理学部, 助教授 (30012397)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二ノ宮 裕三 朝日大学, 歯学部, 助教授 (50076048)
嶋田 一郎 東北大学, 教養部, 教授 (50108429)
鈴木 教世 北海道大学, 理学部, 講師 (10001851)
佐藤 俊英 長崎大学, 歯学部, 教授 (60013968)
森田 弘道 九州大学, 理学部, 教授 (50037149)
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Keywords | トランスダクション / 化学受容 / 味覚 / 嗅覚 / イオンチャネル / レセプター / パッチクランプ / 情報変換 |
Research Abstract |
本研究は動物の化学感覚(味覚・嗅覚)のトランスダクションの分子機構をパッチクランプ法、モノクローナル抗体法・遺伝解析及び遺伝子操作法などを駆使して解明することを目的としている。本年はその初年度にあたり、嗅細胞と味細胞の両方に対してパッチクランプ法・ゆらぎの解析法、細胞内記録法などの電気生理学的方法を主体とした研究を行い、次のような成果を挙げた。これによって基本的なトランスダクションの機構が明らかにできた。(1)両生類の単離嗅細胞に全細胞クランプ法及びパッチクランプ法を適用して、嗅刺激によって開くカチオンチャネルがcAMP及びcGMP依存性チャネルと同じものであること及びCaイオンが細胞外から作用して応答の順応が起ることを明らかにした(鈴木、渋谷)。(2)ハエ糖受容器の受容器電流のゆらぎの解析によって、ピラノース受容体チャネルとフラノース受容体チャネルは単一チャネルコンダクタンスと開閉速度が2〜3倍異なる別のチャネルであること、細胞内Ca^<2+>が順応を起こすこと、アンヒドロ糖が塩受容器を刺激すること等を明らかにした。またハエ単離味細胞にパッチクランプ法を適用して成功した(木島、森田、尼川、嶋田)。(3)カエルとラットの味細胞の細胞内記録法により、酸味、甘味、水応答トランスダクションのイオン機構を明らかにした。またカエルの味細胞にパッチクランプ法を適用して成功した。(佐藤、外崎)。(4)ショウジョウバエの新しい糖受容変異体を分離した。またラットの甘味及びアミノ酸受容変異体を解析した(谷村、二宮)。(5)ラットの味細胞でcAMPをセカンドメッセンジャーとしてK^+チャネルが閉じることによって甘味応答が起ることを明らかにした(外崎等)。(6)界面電位が受容のトリガーとなる可能性をリポソーム及びイヌの味細胞を用いて検討した(栗原)。来年度は生化学的及び遺伝学的方法にも重点を置いて研究を進める予定である。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] H.Kijima.: J.Gen Physiol. 91. 29-47 (1988)
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[Publications] N.Tanabe.: Neurosci.Letter. 92. 52-57 (1988)
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[Publications] Y.Ikemoto.: Br.J.Pharmacol.95. 883-895 (1988)
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[Publications] H.Kijima.: J.Physiol.403. 135-149 (1988)
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[Publications] N.Akaike.: J.Neurophysiol.in press. (1989)
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[Publications] N.Tanabe.: Neurosci.Lett.(1989)
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[Publications] 木島博正、栗原堅三: "Biosignal transduction mechanisms" Japan Scientific Society Press Springer-Verlag, 209 (1989)
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[Publications] 葛西道生: "神経情報伝達分子 情報生物学シリーズ2" 培風館, 175 (1988)