1988 Fiscal Year Annual Research Report
空間情報論的アプローチによる視的運動認知過程の基礎的研究
Project/Area Number |
63410002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
相場 覚 北海道大学, 文学部, 教授 (40000559)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田山 忠行 北海道大学, 文学部, 助手 (50163704)
瀧川 哲夫 北海道大学, 文学部, 助教授 (30098503)
阿部 純一 北海道大学, 文学部, 助教授 (40091409)
今井 四郎 北海道大学, 文学部, 教授 (70000586)
寺岡 隆 北海道大学, 文学部, 教授 (70000552)
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Keywords | 運動視 / 時空的平均化機構 / 速度変調 / 持続評価 / 幾何学的錯視 / 三次元空間構築 |
Research Abstract |
本年度はこの研究の初年度にあたるので、次年度以降の研究を効率的に行なうための体勢づくりに全力を集中した。たとえば、新らしく購入したグラフィック・ターミナル(Sony-Tektronix4235)を使ってダイナミックなパタンを自由に生成することが出来るためのノウハウを習得すること、関連する論文を収集・閲覧し世界におけるこの分野の研究の趨勢を適確に判断するための資料とすること、研究者間の討議を頻繁に行なって本研究プロジェクトの目的をより具体化し、かつ実行計画の精緻化にむけて努力すること等である。 一方すでに着手していた研究については、それらの完成に努め、一部は既に論文にまとめられた。その一つは、空間情報の微視的構造に関するもので、運動対象の瞬間・瞬間の位置が如何に統合され、その対象の時空的定位に寄与するかを調べたものである。そのために直線的運動に種々の周期的な「速度変調」を加え、単純な直線運動とのalignmentを求めることによって、視覚系が時空的平均化の機能を持っていること、また条件によっては位相情報を利用していること、等が明らかになった。もう一つの研究では、空間情報と時間情報との関係が調べられ、具体的には対象の運動速度がその運動の持続の評価に大きな影響を与えることが改めて確認された。この効果は運動対象自体がどのような内的表現を持つかに依存すると考えられ、今後その点を中心として研究が続行される予定である。さらに他のもう一つの研究では、運動空間の必要充分な要件の探求が理論的レベルで行なわれ、心理学の他の広範な分野におけると同様に一種の事態構造論定式化が不可欠であることが示唆された。 現在着手しつつある研究の一つは、いくつかの幾何学的錯視を手がかりとして、空間情報処理の基礎過程の解明を試みるもの、また他は二次元情報よりの三次元空間の構築における運動視の役割の考察である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 舟川政美: Hokkaido Behavioral Science Report,Series P. 21. 1-30 (1989)
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[Publications] 田山忠行: 日本心理学会第52回大会発表論文集. 52. 567 (1988)
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[Publications] 寺岡隆: "事態構造論序説" 福村出版, 1-551 (1989)