1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63420015
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
前田 明夫 鹿児島大学, 工学部, 教授 (90013573)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 洋 鹿児島大学, 水産学部, 講師 (60128410)
茶圓 正明 鹿児島大学, 水産学部, 教授 (30041700)
山城 徹 鹿児島大学,工学部, 助手 (20158174)
櫻井 仁人 鹿児島大学, 工学部, 講師 (10094145)
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Keywords | 係留 / 電磁流速計 / 熱量 / 黒潮 / 表面水温 / 熱収支 / 熱輸送 / 水塊 |
Research Abstract |
本年度は、係留系の設計とそのテスト、海象と気象に関する資料の収集とその解析、本観測の実施計画などをおこなった。 表面ブイは航路標識用のものを改良して用いることにした。それに40マイル以上離れた所からブイの位置を知ることが出来る送受信器を取り付けて回収の際に発見し易くした。上層の測流には記録が安定して得られるので定評のあるアンデラ流速計を用いることにしていたが、ブイの揺れに伴う上下動の影響が記録に入るので、その影響がほとんどない電磁流速計に変更した。電磁流速計の外洋における長期間にわたる測流実績は昨年10月に北大理学部と東大海洋研とによって作られた。係留系のテストの結果、水温計と係留ロープに直接結び付ける方法はロープの延縮と動揺により長期間係留では水温計が脱落する恐れがあることが分った。現在水温計取り付けのための特別な金具を試作中である。 本観測実施計画を立案するためと測定結果の解釈に役立てるため、過去25年間の海象と気象の資料を収集し、それを解析して次の結果を得た。1.海面から海が失う熱量の極大値は黒潮に沿って分布している。2.表面水温の季節変化の位相は黒潮の下流に向って遅れている。このことは東シナ海で特に顕著である。3.黒潮流域では海面を通しての熱収支が正になる前に表面水温が上昇する。4.東シナ海では海は北西側すなわち陸棚奥へ熱を運んでいない。結果1.2.3.は来年度実施する予定の海洋上層での水温と流速の時間連続測定から熱輸送の機構を検討するのに役立つ。結果4.については1988年度WCRPシンポジウムで報告した。結果2.3.については1989年日本海洋学会春季大会で報告する。なお、本研究の目的からはそれるが、以上の解析結果から東シナ海陸棚上の水塊の形成には海面を通しての熱収支が重要な役割を果していることが分った。
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Research Products
(2 results)