1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63420015
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
前田 明夫 鹿児島大学, 工学部, 教授 (90013573)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
茶圓 正明 鹿児島大学, 水産学部, 教授 (30041700)
山城 徹 鹿児島大学, 工学部, 助手 (20158174)
櫻井 仁人 鹿児島大学, 工学部, 講師 (10094145)
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Keywords | 表層混合層 / 成層期 / 内部潮汐 / 水平移流 / 季節水温躍 / 主水温躍層 / ベ-タ-スパイラル法 / 熱収支 |
Research Abstract |
この研究の目的は表層混合層の貯熱量の維持機構を水温と流速の時系列測定と密度場の観測によって調べること及び熱輸送量とその変化の特徴を過去の資料を用いて求めることである。 時系列測定のための表面ブイ係留のテストを鹿児島湾の重富沖水深135mの所で成層期に約2ケ月間行った。テスト期間中台風8911号が通過したため、強風による混合層の発達過程を追うことができた。約半日の間に混合層の厚さは5mから20mに増し、混合層内の水温は4℃下降し、20m深と40m深の水温は6℃近く上昇した。 南方定点(29°N,135°E)で8日間の観測を行うことを予定していたが、台風8931号が接近したため、約20時間の時系列しか得られなかった。表層混合層内の水温は測定期間中わずかな逆転を維持しながら単純なわずかづつの減少を続けていた。季節水温躍層と主水温躍層内では水温と流速は複雑な変動をしていた。各々の躍層内における水温変動の深度方向の相関は高いが、躍層内の相関は低かった。又、流速変動の深度方向の相関は低かった。測定期間が短いため不明瞭であったが内部潮汐の卓越が見られた。この内部潮汐によって躍層付近の深度の水温の水平分布が著しく歪み、水平移流の評価に影響することが分かった。なお、混合層底部における鉛直流はベ-タ-スパイラル法によると上向き1.9×10^<-3>cm/sであった。 資料解析からは次のことが分かった。表層の貯熱量は黒潮流域のほとんどの所で8〜10年の周期が目立ち、1961年から1985年にかけてわずかづつ増加していた。南西諸島周辺海域では表面水温の季節変化は黒潮の運ぶ熱の効果が強く影響していて、下流に向かうに従い位相が遅れていた。この海域では1963年の冬に熱収支の異常が起こり、1980年以後には熱収支の異常が頻繁に起きていた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 前田明夫: "東シナ海の海水の運動に関する研究のレビュ-" 水産海洋研究. 53. 319-330 (1989)
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[Publications] 前田明夫: "東シナ海の水塊と海水の運動の研究について" 海と空. 64. 257-263 (1989)
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[Publications] 櫻井仁人: "黄海・東シナ海の海面熱交換と水収支" 海洋科学. 21. 412-415 (1989)
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[Publications] 山城徹: "Seasonal Variation of Sea Surface Temperature in the East China Sea" OMLET NEWSLETTER No.2. 28-31 (1989)
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[Publications] 前田明夫: "本州南方海域における貯熱量の経年変化"
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[Publications] 前田明夫: "南西諸島周辺海域における熱収支の経年変化"
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[Publications] 山城徹: "南西諸島周辺海域における海面水温の季節変化に及ぼす海面熱収支と熱の移流の効果"