1989 Fiscal Year Annual Research Report
金属・絶縁体超格子超高速3端子電子デバイスの基礎研究
Project/Area Number |
63420035
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
末松 安晴 東京工業大学, 工学部, 教授 (40016316)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅田 雅洋 東京工業大学, 工学部, 助教授 (30167887)
荒井 滋久 東京工業大学, 工学部, 助教授 (30151137)
古屋 一仁 東京工業大学, 工学部, 教授 (40092572)
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Keywords | 電子デバイス / 超高速応答 / 金属 / 絶縁体 / 超格子 / イオン化クラスタビ-ム / 弗化カルシウム / シリサイド系金属 |
Research Abstract |
本研究は、金属・絶縁体極薄膜多層構造を用いた超高速三端子素子を実現するための基礎研究として、金属・絶縁体極薄膜および超格子による人工半導体を試作し、その物性に関する理論的・実験的な学問的基礎を確立するとともに、この三端子素子を試作し、その基礎特性を明らかにすることを目的として行い、本年度は以下に述べる成果を得た。 金属・絶縁体結晶材料として、シリコン結晶基板に格子定数が近いコバルトシリサイド(CoSi_2)および弗化カルシウム(CaF_2)を選び、イオン化クラスタビ-ム結晶成長装置を用いて、シリコン基板上に絶縁体および金属・絶縁体積層の極薄膜結晶成長実験を行った。CoSi_2は高温において島状に凝集しやすいため、CoSi_2とCaF_2の平坦な積層構造を得るためには、CaF_2の低温エピタキシャル成長法を確立することが必要不可欠となる。本研究では、蒸着源のCaF_2をイオン化加速することにより、低温エピタキシャル成長が可能になることを見い出し、その最適加速電圧を明らかにした。得られたCaF_2薄膜上に、蒸発源のCoおよびSiをイオン化加速することによりCoSi_2極薄膜を結晶成長させ、イオン化加速により平坦薄膜化と単結晶化を同時に達成できることを見い出した。これらの結果から金属・絶縁体極薄膜多層構造および超格子を得るための基礎的知見を得た。また、三端子デバイス形成のために必要なCoSi_2とCaF_2の化学エッチング条件を明らかにした。 金属・絶縁体極薄膜積層構造を用いた三端子デバイスとして、金属中の高電子濃度、空間電荷効果、急峻なポテンシャルバリアの制御を利用することによりTHz程度の応答速度が可能なデバイスを提案した。また、このデバイス中の電子の波動性を理論的に扱う方法を確立し、その影響を明らかにした。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Y.Chaki: "Proposal of Space Charge Limited Insulator Tetoroide with HighーSpeed Response Using Metal and Insulator" Trans.IEICE of Japan. Eー72. 313-314 (1989)
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[Publications] 渡辺正裕: "ICB成長CaF_2薄膜における絶縁耐圧の加速電圧依存性" 応用物理学会 学術講演会(春). 3p-L.1 (1989)
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[Publications] 浅田雅洋: "ナノメ-トル絶縁膜を有するLSI用新デバイスの可能性" 電子通信情報学会 全国大会(秋)シンポジウム. SC-6.4 (1989)
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[Publications] 渡辺正裕: "ICB法によるCaF_2薄膜の低温エピタキシャル成長" 応用物理学会 学術講演会(秋). 28a-H.5 (1989)
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[Publications] 坂口知明: "空間電荷制御型金属/絶縁体電子デバイス(SCLIT)におけるグリッドバリア制御動作の理論解析" 電子情報通信学会 全国大会(春). C-546 (1990)
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[Publications] 渡辺正裕: "ICB法によるCaF_2(111)薄膜上へのCoSi_2エピタキシャル成長" 応用物理学会 学術講演会(春). (1990)