魚脂多価不飽和脂肪酸の抗炎症及び免疫調節作用

1990 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 63440041
• Research Institution: Chiba University
• Principal Investigator: 吉田 尚 千葉大学, 医学部内科学第二講座, 教授 (90048950)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 平井 愛山 千葉大学, 医学部内科学第二講座, 助手 (10189813) ; 田村 泰 千葉大学, 医学部内科学第二講座, 助教授 (90009671)
• Keywords: エイコサペンタエン酸 / 単核球 / サイトカイン / ナチュラルキラ-細胞 / ロイコトリエンB / 乾癬 / 潰瘍性大腸炎 / クロ-ン病

Research Abstract

免疫担当細胞である単核球は種々のアラキドン酸代謝産物やサイトカインを分泌し炎症の発症及び進展や免疫調節機構と密接に関わっている。又ナチュラルキラ-(NK)細胞もBリンパ球の分化や抗体産生の調節に重要な役割りを果している。魚脂多価不飽和脂肪酸の一種であるエイコサペンタエン酸(EPA)には抗炎症及び抗免疫作用があるといわれているので、今回我々はこれら単核球におけるサイトカイン産生及びNK細胞活性に及ぼすEPAとその代謝産物の影響について検討した。
1)EPAを投与したラットより得られた脾細胞に含まれているNK細胞活性は抑制されていた。またアラキドン酸の代謝産物であるロイコトリエンB_4(LTB_4)にはNK細胞活性促進作用が認められた。2)EPAの代謝産物であるLTB_5のインタ-ロイキンー1(ILー1)産生能は、LTB_4よりも非常に弱いこと等の成績が得られた。このことは単核球におけるサイトカイン及びNK細胞活性はLTB_4によって調節されており、EPAにはこれらサイトカイン及びNK細胞活性を抑制するが、その機序としてEPA投与によりLTB_4産生能の低下としてLTB_5の生物活性がLTB_4より非常に弱いこと等が考えられた。
慢性炎症性自己免疫疾患である乾癬の患者にEPAを長期投与し、その有効性が確かめられた。
更に慢性炎症性自己免疫疾患である活動性の潰瘍性大腸炎やクロ-ン病の単核球でのインタ-ロイキン6(ILー6)産生能が混進していることがわかった。
以上の成績は慢性炎症性自己免疫疾患での病態にサイトカインやNK細胞活性の異常が主要な役割りを果しており、EPAにはそれを是正する薬理作用があり、将来有望な薬剤となりうる可能性が示唆された。

Research Products

• [Publications] Tatsuno I,Saitoh.H,Tamura Y and Yoshida.S.: "Comparism of the effect between LTB_4 and LTB_5 on the induction of ILー1 like activity and calcium mobilizing activity" Agent and Action. 29. 324-327 (1990)
• [Publications] Kojima T,Terano T,Tanabe T,Okamoto S,Tamura Y and Yoshida S: "Longーterm administration of highly purified EPA provides improvement of psoriasis" Permatologia. (1991)
• [Publications] Suzuki Y,Saitoh H,Kasanuki J,Kishimoto T,Tamura Y and Yoshida S: "Significant increase of ILー6 in blood moronuclear leucocytes obtained from patients with active inflammatorybowel disease" Life Science. (1991)
• [Publications] Chang KeJ,Saitoh H,Tatsuno I,Tamura Y and Yoshida S: "Role of 5LO products of arachidonic acid in cell to cell interaction between macrophages and natural Killer cells in rat spleen" J.Leucocyte Biology. (1991)