1989 Fiscal Year Annual Research Report
内在性抗脳虚血機構(因子)の誘発と同定に関する研究
Project/Area Number |
63440058
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
下地 恒毅 新潟大学, 医学部, 教授 (30040158)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 直士 新潟大学, 医学部, 助手 (70181419)
多賀 紀一郎 新潟大学, 医学部附属病院, 助手 (00163329)
熊谷 雄一 新潟大学, 医学部附属病院, 助手 (90170050)
福田 悟 新潟大学, 医学部, 助教授 (30116751)
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Keywords | 機械的脳損傷 / 脳虚血 / 抗脳虚血作用 / 体温 / 細胞内遊離カルシウム |
Research Abstract |
本年度は機械的軽度脳損傷が誘起する抗脳虚血作用と体温の関係および抗脳虚血作用の効果の検索方法について検討した。(I)脳虚血と体温:機械的軽度脳損傷を施行したマウスおよび非脳損傷マウスについて、ペントパルビタ-ル麻酔下に両側総頚動脈の一時的閉塞による脳虚血を負荷し、虚血中および血流再開後における保温温度を調節して体温と生存率の関連を両群について比較した。その結果、(1)室温(25℃)では脳損傷マウスは非損傷マウスに比較して麻酔、虚血時の低体温からの回復が遅れること、(2)30℃および34℃の保温槽にて体温をコントロ-ルすると損傷マウスと非損傷マウスの虚血後生存率には有意の差がないこと、(3)両群とも30℃保温では34℃保温に比較して虚血後生存率が高いことがわかった。これらの結果は脳損傷マウスにおける虚血時、再開通時の低体温が虚血後生存率を向上させることを示唆しており、今後、脳損傷と体温調節との関連を検索する。(II)抗脳虚血効果の検索方法:人工的脳損傷を加えたマウスの損傷部分にスポンジを1週間留置して採取した脳脊髄液をマウスの脳室に投与し脳虚血負荷を行い、生食投与マウスと虚血後生存率を比較したが、両者に有意の差を認なかった。そこで、採取した脳脊髄液の成分(主としてタンパク、ペプチド)の分離濃縮した各分画の投与による抗虚血作用の検索を進めている。また、虚血による神経細胞障害にCa^<2+>過剰流入の関与が示唆されていることから、虚血に弱いとされる海馬のスライス標本灌流系を用い、細胞内遊離Ca^<2+>濃度([Ca^<2+>]_i)の変化を記録し、虚血モデルとしての低酸素、高カリウム灌流液による[Ca^<2+>]_iの上昇を定量化することができた。このモデルを用い、[Ca^<2+>]_i変化に及ぼす上記の脳脊髄液成分、神経栄養因子等の効果を検索する予定である。
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Research Products
(1 results)