1990 Fiscal Year Annual Research Report
内在性抗脳虚血機構(因子)の誘発と同定に関する研究
Project/Area Number |
63440058
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
下地 恒毅 新潟大学, 医学部, 教授 (30040158)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨田 美佐緒 新潟大学, 医学部附属病院, 助手 (60221438)
伝田 定平 新潟大学, 医学部, 助手 (20197833)
多賀 紀一郎 新潟大学, 医学部附属病院, 助手 (00163329)
遠藤 裕 新潟大学, 医学部附属病院, 講師 (90168831)
福田 悟 新潟大学, 医学部, 助教授 (30116751)
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Keywords | 脳損傷 / 脳保護 / 脳虚血 / 細胞内遊離カルシウムイオン / ^<14>Cーデオキシグルコ-ス / 局所脳代謝 |
Research Abstract |
今年度は主として以下の研究を行った。(1)脳組織切片潅流法による,損傷部位と非損傷部位の細胞内遊離Ca^<2+>濃度変化:ペントバルビタ-ル麻酔下にマウス頭骨上より定位的に25G注射針を刺入して大脳皮質,海馬を損傷し,7〜9日後,それらマウスの脳切片標本を作製し,低酸素潅流・無グルコ-ス負荷実験を行い,画像処理法によって細胞内遊離Ca^<2+>濃度を測定し,損傷部近位と周辺領域の差異を検索した。損傷部近位では周辺部に比較して細胞内遊離Ca^<2+>濃度が低い標本と逆に高い標本が観察され,損傷部近位では損傷により細胞内遊離Ca^<2+>濃度に何等かの影響を受けていると考えられる。しかし,これまでの検索では損傷部近位と周辺領域のいずれも低酸素・無グルコ-スによる細胞内遊離Ca^<2+>濃度上昇が増大または抑制されることはなく,脳損傷による脳保護効果と細胞内遊離Ca^<2+>濃度の関連についてはさらに詳しく検討する必要があると考えている。(2) ^<14>Cーデオキシグルコ-ス法による脳内局所グルコ-ス代謝の検索:前述と同様に脳損傷を作製したマウスと非損傷マウスについて,1週間後,両側総頚動脈結〓を1時間施行し,さらに,1週間後に ^<14>Cーデオキシグルコ-ス法による脳内局所グルコ-ス代謝を調べたところ,非損傷マウスでは海馬など8/22の部位で局所脳代謝が亢進しているのに対して,脳損傷マウスではそのような局所脳代謝の亢進は認められなかった。このことは,虚血後に生ずる局所脳代謝亢進を脳損傷が抑制し,それが脳保護作用に関連している可能性を示唆する。以上の結果から,とくに,(2)において認められた虚血後に生ずる局所脳代謝亢進部位を中心に,定位的損傷による抗脳虚血効果の差異について検索を進める予定である。
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Research Products
(1 results)