Research Abstract |
1,須田はネコを用い,歯髄を効果的に麻酔する方法について検索した。すなわち,成熟したネコの上顎犬歯と眼窩下神経を用い,2%リドカイン,2%メピバカイン,および3%プリロカインの3種の局所麻酔剤を傍骨膜注射または歯根膜内注射することによって,歯髄の麻酔を試みた。歯髄の麻酔効果は,平成元年度と同じく,眼窩下神経を電気刺激したときに犬歯から記録される逆行性誘発電位から判定した。その結果,歯髄の麻酔効果は投与薬剤よりも,むしろ投与方法による影響が強く,歯根膜内注射は上記の逆行性電位を速やかに消失させた。平均消失時間は,リドカイン,メピバカイン,プリロカインで,それぞれ,49秒,1分37秒,1分11秒であった。これに対し,傍骨膜注射は活動電位を消失させるのに長時間を要し(平均消失時間:13分24秒),両群の間には統計学的な有意差が認められた(P<0.01)。さらに,動物実験で有効性が確認された歯根膜内注射を臨床で応用したところ,傍骨膜注射で十分な麻酔効果が得られなかった症例においても,著明な効果が得られることが確認された。 2,砂川は平成元年度に引き続いて,下歯槽神経あるいは眼窩下神経の電気刺激に対して応答するニュ-ロンを頸髄(C_2あるいはC_3)より記録し,これらのニュ-ロンの種類を同定するため,脊髄神経を後根切断後に電気刺激し,三叉神経入力により応答性を示す頸髄ニュ-ロンが逆行性に応答するかどうかを検索した。この研究は現在継続中であり,症例を集めて解析を試みようとしている段階である。
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