1989 Fiscal Year Annual Research Report
先天盲開眼者・脳損傷事例の視覚による空間認知機能の形成過程
Project/Area Number |
63450014
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鳥居 修晃 東京大学, 教養学部, 教授 (50015012)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 武郎 東京大学, 教養学部, 助手 (90210913)
鳥居 登志子 日本女子大学, 児童研究所, 研究員 (70060671)
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Keywords | 先天盲開眼者 / 脳損傷事例 / 定位活動 / 遠近弁別 / 両眼立体視 / 視・運動系活動 / 事物の線画認知 / 視野障害 |
Research Abstract |
先天盲開眼者2名(KT,MO)、脳損傷事例3名(AT,TS,TK)、斜視児1名(KI)および脳性マヒ事例1名(KH)の協力を得て、視・運動系活動ならびにそれに基づく空間認知機能の障害状況とその回復・形成の過程とにつき、追跡研究を行った。現在までに得られた結果のうち、主要なものを挙げると、次の通りである。 (1)先天性白内障の手術を受けたKT(左眼のみ)については、近距離ではすでに十分識別できるようになった数種の輪郭線(線幅3mm)図形を20cmくらいの遠距離からでも識別できるようにするための輔生の試みを開始し、識別率が少しずつ上昇する傾向にある。 (2)角膜移植手術を昨年9月に受けた(左眼のみ)ばかりの先天盲MOについて、10種程度の色紙の識別実験を1ヵ月に2〜3回の割合で試みたところ、189cm離してもそれらをほぼ確実に識別し得るようになった(当初は20cm以内)。ただ、眼から20cm以上離れた事物についての、視・運動系による定位活動はまだ十分発現する状態に至っていない。 (3)脳損傷事例ATは、2重視か消失し、両眼視機能が回復した。 (4)脳損傷事例TSについては、視野欠損の状況を解明し、さらに事物の線画のうち、複数個並べたものの識別が難しいこと、単一事物の線画でも、45°以上傾けるともはや識別できなくなることが明らかになった。 (5)斜視児KIに関しては、視・運動系の活動と両眼立体視(視差200秒まで可能になった)および遠近弁別機能の錬成を図る試みを続けてきており、成果をあげつつある。 (6)脳性マヒ事例KHについても、両眼立体視の機能が少しずつ成立しつつある傾向が見出された(視差800秒まで可能)。立体視困難なランダム・ドット・ステレオグラムに関しても、ドット数を減じるなどの方策によりその立体視の成立を図る試みを続けている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Torii,S.: "Postoperative colour naming and identification in the early brind" Abst.of XXIV International Congress of Psychology. 322 (1988)
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[Publications] Mochizuki,T & Torii,S: "Visual depth perception in the early brind after surgery" Abst.of XXIV International Congress of Psychology. 270 (1988)
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[Publications] 望月登志子(鳥居): "6歳児における奥行の相対弁別と対象の大きさの把握" 日本女子大学紀要(家政学部). 35. 27-32 (1988)
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[Publications] 鳥居修晃(梅津八三・上村保子と共著): "開眼手術後の初期段階における早期失明者の信号系活動" 基礎心理学研究. 6. 67-78 (1988)
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[Publications] 望月登志子(鳥居): "開眼手術後における視機能とその分化 -視空間の構造を中心として-" 基礎心理学研究. 7. 53-70 (1989)
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[Publications] 鳥居修晃(梅津八三・上村保子と共著): "早期失明者の開眼手術後における信号系活動(1) -図領域の定位活動と色の弁別活動-" 基礎心理学研究. 8. (1990)