1988 Fiscal Year Annual Research Report
科学技術の発展とパブリック・アクセプタンスーー放射線に対するリスクとリスク・パーセプションを中心にーー
Project/Area Number |
63450016
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木下 冨雄 京都大学, 教養部, 教授 (10026742)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
棚瀬 孝雄 京都大学, 法学部, 教授 (80022424)
吉川 栄和 京都大学, 原子エネルギー研究所, 助教授 (60027141)
江島 義道 京都大学, 教養部, 助教授 (60026143)
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Keywords | 科学技術のパブリック・アクセプタンス / リスク・パーセプション / 放射線 / 原子力 |
Research Abstract |
I.目的 あらゆる科学技術には,技術の進歩によってもたらされる生活や文化の向上というポジティブな側面と、それから派生するネガティブな側面がつきものである。この両側面を考慮した上で、科学技術を社会に受け入れるかどうかを決定するのがパブリック・アクセプタンスであるが、これは技術の持つ客観的なリスク/ベネフィット評価ではなく、主観的なそれであるところが問題を難しくしている。そしてこの問題は、とくに放射線や原子力に関する技術において、尖鋭化しているように思われる。本研究は、放射線や原子力関係の科学技術に対して、人びとがパブリック・アクセプタンスをしているかどうか,そのような態度の背後に、これらの技術に対していかなるリスク/ベネフィット知覚をしているか、またそれを支える要因として、どのような態度、価値観、知識があるかを、社会調査によって明らかにすることを目的としている。 II.方法 (1)母集団 大阪府、京都府、兵庫県在住の有権者。 (2)標本と抽出法 選挙人名簿をもとに無作為二段抽出法による標本抽出を行った。標本数は1500人。 (3)調査法 訪問配布、留置記入、訪問回収による質問紙調査。 III.結果 (1)同じ原子力関係の技術でも、レントゲン撮影と原子力発電とでは、アクセプタンスのレベルが全く異なる。前者は安全で有用性の高い技術と認識されているが、後者は有用だが危険性の高い技術と認識されている。 (2)このような態度の背後に、不安感情、事故が発生したときの特性、科学技術についての知識、科学文明や自然保護についての価値観、社会問題への関心等がある。これらの要因をもとに多変量解析が行われた。
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[Publications] 木下冨雄: 市場調査. 196. 2-15 (1988)
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[Publications] 木下冨雄: 日本原子力学会誌. 30. 885-888 (1988)
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[Publications] Tomio Kinoshita: Proceedings of The International Conference on Rish Assessment of Energy Development and Modern Technology. (1988)