1988 Fiscal Year Annual Research Report
日常会話状況における人間の情報処理模型とその計算機シミュレーション
Project/Area Number |
63450022
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
戸田 正直 中京大学, 文学部, 教授 (40000525)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小笠原 秀美 中京大学, 文学部, 助手
牧野 義隆 中京大学, 文学部, 助教授 (70065241)
篠塚 寛美 北海道大学, 文学部, 助教授 (30000615)
森 孝行 中京大学, 文学部, 教授 (20065163)
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Keywords | 会話文処理 / 意味解析 / 格構造 / 要請文 / 認知模型 / 人工知能 |
Research Abstract |
本年度研究計画の主要部分である日本語会話文の構文意味解析機構およびシステムの出力文産出機構についての研究の主内容は次の通りである。まず、構文、意味解析機構について述べる。人間の実際の情報処理においてはおそらく状況・文脈依存の推論が行われて、かなりトップ・ダウンに対話者の発話意味内容をしぼった上で意味マッチングを効率的に実行しているものと推定されるが、当システムにおいてはそのような上位の推論機能はまだ未発達であるので、必然的にボトム・アップに解析を進めるよりない。しかし、ボトム・アップ開設を行うに当たっても、会話文のような不完全部分の非常に多い文表現においては、句構造文法のような言語理論にもとづく解析はきわめて効率が悪い。したがって、われわれの方針として、一方では個々の格助詞の関係等から得られる意味的情報を徹底的にボトム・アップ的に拾うと共に、それらの情報の欠落部分を補間する構造情報として、会話の素材となるような日常的事態が持つ意味的束縛を理論化して使用することにした。本研究ではそのような理論化の基礎作業として、会話文における意味情報を格納する枠組としての情報格構造を整備するとともに格文要素から意味内容を徹底的に拾うためのルール群の構成を重要な機能詞の約半数について完成することができた。一方、産出機構についても、最初のターゲットとして特に要請文に的をしぼって、要請文発話に関する実証的調査研究、同結果の理論化、さらにシステム化を行った。 本年度研究実施計画中のその他の部分、すなわち画像入出力の可能性、連想型記憶管理機構、対話者モデル構築、因果推論、感情喚起機構については、それぞれ基礎的研究がスタートした。これらの研究が本格化して効果をあげはじめるのはまだ暫くの時日が必要と考えられる。
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Research Products
(2 results)