Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 泰志 国立特殊教育総合研究所, 視覚障害教育研究部, 研究員 (60207850)
小田 浩一 国立特殊教育総合研究所, 視覚障害教育研究部, 研究員 (60169307)
大城 英名 国立特殊教育総合研究所, 視覚障害教育研究部, 研究員 (80185256)
千田 耕基 国立特殊教育総合研究所, 視覚障害教育研究部, 室長 (40099940)
志村 洋 国立特殊教育総合研究所, 視覚障害教育研究部, 室長 (80106153)
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Research Abstract |
本研究の最終年度にあたる今年度も,昨年度に引続き低視力児の読みに関する特徴を明らかにするための実験的な調査研究を行った。特に,読速度や文字の読み誤り,読み直し等について調べ,それらを規定している要因の分析を行った。その結果,今回調査した低視力児の読みの特徴について,以下のようなことが明らかにされた。 1.読速度は学年と正の相関があり,学年が上れば読速度も速くなることが示された。また,読速度は非常に個人差が大きく,低視力であれば読速度は遅いとは必ずしも一義的にいえない。さらに,読速度と視力,文字の大きさ,視距離,視角,分離閾に対する文字の大きさ等とは,明確な関連はみられず,それを決定している要因はそう単純ではないことも示された。2.文脈のある文章の読みとランダムの文の読みでは,文脈読みの方が速く,また読字数が多いほど文脈読みとランダム読みの差は大きかった。また,その差は学年が上れば大きくなる傾向がみられた。一方,0.1未満の視力群では,視力が低いほど,その差は小さくなる傾向がみられた。3.文字の読み誤りに関しては,特に,文字の読み替え,字飛ばし,濁点落ちなど,字形のパタ-ン認識やスキャニングに関連した誤読が多くみられた。また,誤読と視力には負の相関があり,低視力であればあるほど誤読が多くなる傾向が示された。また,文字が大きいほど誤読率は上がる傾向がみられ,さらに視距離が近ずきすぎても遠くても誤読は多くなる傾向がみられた。4.文字の読み直しについては,視力の高い方に読み直しが多くなる傾向がみられた。また,文字サイズの大きい方が読み直は少ない,という傾向もみられた。 以上のような結果について考察を加えて,本研究の研究成果の報告書をまとめた。
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