1988 Fiscal Year Annual Research Report
幾何における問題解決に際しての予想の役割の比較文化的開見
Project/Area Number |
63450101
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
石田 忠男 広島大学, 教育学部, 助教授 (90034818)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 義明 広島大学, 附属中・高等学校, 教諭
国岡 高宏 広島大学, 教育学部, 助手 (10205106)
那須 俊夫 広島大学, 教育学部, 教授 (90033026)
岩合 一男 広島大学, 教育学部, 教授 (40036629)
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Keywords | 予想 / 推測 / 証明の予想 / 結論の予想 / コンピュータの活用 / パソコンの活用 |
Research Abstract |
一般に、幾何の証明活動においては、図などの「観察・実験」に基づいて「予想」が立てられて、「試行がなされ、うまく行けば「証明」に成功し、予想が正しくないときは「反例」があげられ、「予想の修正」がなされ、試行、証明へと進む。従って、「予想」は非常に重要な位置を占めており、証明の成否は「予想」に大きく依存していると考えられる。 本研究は、上記のような仮説のもとで、思考面、幾何の内容面の基礎的研究を進めるとともに、証明の際に予想をたてる活動について、生徒の思考の実態やその意義を、実施調査を通して解明しようとしたものである。その結果、次の諸点等が明らかとなった。 1.個人調査のプロトコールを通して、予想は個人の過去経験及びそこで形成された信念に強く影響されてること、誤った予想の修正には反例が大きく貢献すること、及び証明の成功にはいわゆる中心転換が重要であること等が明らかとなった。 2.思考過程の集団調査を通して、成績上位者は証明の方針を多く持っていてそれらの方針についてどれが証明しやすいかをより別ける能力にすぐれているが、下位者では、そのいずれにおいても劣っている傾向があること等がわかった。 3.コンピュータを用いた予想の調査を通して、コンピュータ利用の長所として、作図の容易性、図の連続的変化性等が挙げられるがそれともに、画面上へ自由な書き込みができないこと、物差し、分変器等による測定が困難であることなどの短所があることがわかった。 上記の結論は、比較的少数の調査によるものなので、来年度はそれらを踏えて、より一般性のある結論をうること、それをもとに証明指導の基本的原理を構築すること、そしてそれらの結果はフランスにおける結果と比較文化的視点から考築することなどに取り組みたい。
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[Publications] 石田忠男: 数学教育学研究紀要(西日本数学教育学会誌). 第15巻. (1989)
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[Publications] 那須俊夫: 広島大学教育学部研究紀要. 37. (1989)
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[Publications] 国岡高宏: 数学教育学研究紀要(西日本数学教育学会誌). 15. (1989)
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[Publications] 藤本義明: 数学教育学研究紀要(西日本数学教育学会誌). 15. (1989)