1988 Fiscal Year Annual Research Report
超音波スペクトロスコピーを適用したコンクリート構造物の劣化度評価に関する研究
Project/Area Number |
63460172
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小阪 義夫 名古屋大学, 工学部, 教授 (00022989)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 信宏 名古屋大学, 工学部, 助手 (00023333)
山田 和夫 愛知工業大学, 講師 (10093080)
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Keywords | コンクリート / 非破壊試験法 / 劣化度評価 / 超音波スペクトロスコピー法 / 弾性波 / 伝播特性 / 周波数伝達関数 / 減衰特性 |
Research Abstract |
超音波スペクトロスコピーによるコンクリートの劣化度評価方法の確立を目的として、実験および解析の両観点から一連の検討を行った。それらの結果は、およそ次のように要約できる。 1.モルタルの場合、透過超音波の各種波形特性パラメータに対する水セメント比の影響はあまり明らかではないが、コンクリートの場合には、水セメント比が大きいほどこれらの波形特性値は減少する。各種波形特性値は、モルタルよりもコンクリートの方が小さい。 2.モルタルおよびコンクリート中を透過した超音波の最大振幅およびエネルギーは、試験体の劣化とともに減少するが、最大振幅よりもエネルギーの方が試験体内部の劣化の影響が顕著である。 3.試験体が劣化すると、モルタルの場合には、200〜250kHzの周波数成分が、コンクリートの場合には、100〜150kHzと200〜250kHzの2帯域の周波数成分が卓越した周波数特性を示すようになる。 4.モルタルおよびコンクリートの周波数伝達関数の振幅およびエネルギーは、水セメント比にかかわらず試験体の劣化に伴って減少する。 5.加熱および繰返し冷却を受けたモルタルおよびコンクリートの曲げ強度および圧縮強度は、加熱温度および冷却繰返し数の増加に伴って低下する。試験体の劣化による強度低下の割合は、圧縮強度よりも曲げ強度の方が、またコンクリートよりもモルタルの方が著しい。 6.劣化による強度低下の現象と検出波形の最大振幅、平均周波数およびエネルギー、並びに特定周波数帯域における局所エネルギーの変化の様相などとの間には良好な相関があり、超音波スペクトロスコピーによるコンクリートの劣化度判定は可能と考えられる。 7.本研究で提案した差分法による3次元弾性波動伝播解析手法は、コンクリート中を伝播する超音波を解析的に追跡するのに有効である。
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[Publications] 山田和夫: 日本建築学会大会学術後援梗概集. 637-638 (1988)
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[Publications] 山田和夫: Trans.of The JCl. 10. 113-120 (1988)
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[Publications] 土屋宏明: セメント技術年報. 42. 259-262 (1988)
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[Publications] 山田和夫: 日本建築学会東海支部研究報告集. 27. 37-40 (1989)
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[Publications] 土屋宏明: 日本建築学会東海支部研究報告集. 27. 41-44 (1989)
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[Publications] 山田 和夫: コンクリート工学年次講演論文集. 11. (1989)