1988 Fiscal Year Annual Research Report
ポリアリレンビニレン薄膜の構造制御と光電子物性に関する研究
Project/Area Number |
63470092
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
斎藤 省吾 九州大学, 大学院総合理工学研究科, 教授 (80136548)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筒井 哲夫 九州大学, 大学院総合理工学研究科, 助教授 (40037982)
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Keywords | ポリアリレンビニレン / ポリ(2,5チエニレンビニレン) / 前駆体高分子 / 光学的吸収端 / 電子伝導性 / 3次非線形光学効果 |
Research Abstract |
主鎖π共役系高分子であるポリアリレンビニレン類の薄膜を作製するため、前駆体高分子を経由する合成法を研究した。まずスルフォニウム塩型前駆体高分子を合成し、ついで対イオンを交換した後アルコールと反応させて安定なアルコキシ型高分子を得た。アルコキシ型前駆体高分子は有機溶媒可溶性であり、これからキャスト法あるいはスピンコート法により良質な薄膜が作製できることを明らかにした。アルコキシペンダントを脱離させる方法を検討し、単なる高温脱離よりも、微量の酸触媒を共存させる条件で、目的とする化学構造をもつポリアリレンビニレン薄膜が得られることを明らかにした。 ポリアリレンビニレン薄膜の電子スペクトルを測定し、いずれもπ-π^x遷移に起因する吸収が可視域に存在することを認めた。単量体のイオン化ポテンシャルの低下に伴い光学的吸収端は低エネルギー側に移行し、ポリ(2,5チエニレンビニレン)薄膜は金属的反射を示すことを明らかにした。 電子受容体であるヨウ素をドープした各種ポリアリレンビニレン薄膜の電子伝導性を評価し、ペンダントの脱離が進行するとともに導電率が向上するものの、極大値が存在することを認めた。この理由は、脱離反応がほぼ完全に進行すると薄膜密度が著しく増加し、ドーパントであるヨウ素の濃度が低下するためであることを明らかにした。 各種ポリアリレンビニレン薄膜の3次非線形光学効果を研究し、非線形感受率は光学的吸収端と密接な関係があり、ポリ(2,5チエニレンビニレン)薄膜では10^<-10>esuに達する高い値になることを示した。この値は、非共鳴状態における値としては非常に高い。また、光双安定素子を作製して非線形応答の時定数を評価し、10^<-12>秒以下の超高速応答を確認した。
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[Publications] T.Kaino;K.Kobodera;S.Tomaru;T.Kurihara;S.Saito;T.Tsutsui;S.Tokito: Electronics Lett.23. 1095-1097 (1987)
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[Publications] S.Tokito;H.Murata;T.Tsutsui;S.Saito: Jpn.J.Appl.phys.27. L1726-L1727 (1988)
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[Publications] T.Momii;S.Tokito;T.Tsutsui;S.Saito: Chem.Lett.1988. 1201-1204 (1988)
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[Publications] S.Tokito;T.Momii;H.Murata;T.Tsutsui;S.Saito: Polymer. (1989)