1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63470134
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
中島 利誠 お茶の水女子大学, 家政学部, 教授 (00013152)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 昭二郎 お茶の水女子大学, 家政学部, 助教授 (20013196)
駒城 素子 お茶の水女子大学, 家政学部, 助教授 (10077480)
仲西 正 お茶の水女子大学, 家政学部, 講師 (90198143)
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Keywords | 衣内気候 / 熱・水分移動 / 汗 / 吸着 / アミノ酸 / 発汗 / 着心地 / 温熱生理 |
Research Abstract |
衣服の着心地に及ぼす汗の影響は古くて新しい問題である。発汗の激しい夏期には麻および綿製品が良いとされているが、高級品が普及するにつれ、これらの洗浄による型くずれが問題になり、一方、現在のドライクリ-ニングでは汗成分の一部が除去されずに次第に汗臭が蓄積される。従って、絹を始めとする天然繊維製の高級品は着用時に汗をかかない様に努力するしか方法がない。最近流行の新素材についても汗ならびに洗浄による性能劣化の問題は無視できない。本研究は環境条件に伴う発汗量、汗成分の変化から、汗成分の繊維への吸・脱着性の検討等を対象とし、着心地へ及ぼす汗の影響を総合的に研究したものである。研究は3グル-プで行なわれた。中島・仲西・赤染等はそれぞれに定められた室内温度、湿度、風速に設定された人間環境制御室内で、安静座位および運動下の被験者の深部体温、衣内温度、衣内湿度、衣服表面温度、体重変化を連続的に測定し、衣服素材による発汗量の変化を検討した。中でも、綿とポリエステルの肌着を重ね着する時、綿/ポリエステル複合2層素材の肌着を着る時、綿を肌側に着る場合とポリエステルを肌側に着る場合で、衣服を通しての熱・水分の移動様式が若干異なることを見出した。また、小川は発汗した汗の成分分析をアミノ酸を中心に検討し、洗浄で落とし難い汚れの主原因と考えられる不飽和結合を持つ成分、すなわち紫外線領域に吸収を持つ成分の分析を試みると同時に、紫外線領域に吸収を持たない成分についてもラベル化剤を用いて分析を行ない、多くの基礎デ-タを蓄積した。駒城は汗成分であるヒスチジンならびに乳酸について衣服素材への吸脱着性を検討し、とくにヒスチジン/セルロ-ス系ならびに乳酸/ポリアミド系について詳細に検討し、吸着等温線ならびに吸着の科学ポテンシャル、エンタルピ-、エントロピ-等を求めた。
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[Publications] 菅井清美,中島利誠: "運動実験による綿とポリエステル複合素材の熱・水分移動" 日本生気象学会雑誌. 25. 3-9 (1988)
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[Publications] K.SUGAI & T.NAKAJIMA: "Simultaneous Comparison of Clothing Microclimates on Right and Left Half Bodies" 繊維学会誌. 44. T204-T211 (1988)
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[Publications] 中島利誠,李旭子,菅井清美: "重ね着時の熱・水分移動に及ぼす繊維差の影響" 日本学術振興会 染色加工第120委員会年次報告-40周年記念特集-. 39. 131-134 (1988)
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[Publications] 菅井清美,中島利誠: "綿・ポリエステル2層素材衣服着用下の衣服気候と着用感覚" 日本生気象学会雑誌. 26. 5-13 (1989)
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[Publications] 三ツ井紀子,中島利誠: "運動中の衣服下気候と着心地に及ぼす布物性の影響" 日本生気象学会雑誌. 26. 41-48 (1989)