1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63480017
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
桃谷 好英 大阪府立大学, 総合科学部, 教授 (60079069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 健助 大阪府立大学, 総合科学部, 助手 (10209942)
植田 邦彦 大阪府立大学, 総合科学部, 助手 (60184925)
上田 純一 大阪府立大学, 総合科学部, 助教授 (40109872)
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Keywords | アイソザイム / 化学分類学 / 精油 / 生理活性 / 分子系統学 / 木本性多心皮群 / モクレン科 / モクレン属 |
Research Abstract |
昨年度の研究経過から、比較的効率よく精油を分離する方法が確立されたので、本年度はこれらの精油を用いて、精油のもつ生理活性からその生理的意義の解明、ならびにその種差についての解析を目的として研究を実施した。1988年7月ー1989年1月にかけて採取された19種類のモクレン科植物の葉から水蒸気蒸留法によって得た精油に対して、オ-トムギ第一葉切片を用いたクロロフィル分解試験を適用し、スクリ-ニングを行った結果、顕著なクロロフィル分解促進活性がハクモクレン亜属のシデコブシ、キモクレンに見いだされた。各種クロマトグラフィ-を用いてこれら活性物質を精製し、最終的に、ガスクロマトグラフ/質量分析計によって、シデコブシの精油に含まれる活性物質をカリオフィレンオキサイドと、またキモクレンの精油に含まれる活性物質を2種のオクタハイドロアズレンメタノ-ルと同定した。そこで、標品のカリオフィレンオキサイドについて、植物ホルモン類との相互作用を検討した。オ-トムギ第一葉切片を用いたクロロフィル分解試験において、カリオフィレンオキサイドは1.36x10^<-4>M以上の濃度でサイトカイニンのクロロフィル分解抑制活性を完全に除去した。同様に、オ-トムギ幼葉鞘切片伸長試験において、10^<-6>M以上の濃度でオ-キシンの伸長促進作用を不競争的に阻害した。しかしながら、イネ(短銀坊主種)芽生えを用いた成長試験においては、ジベレリンの成長促進効果と相互作用を示さなかった。以上の結果から、モクレン科植物の精油には、植物ホルモン類のうちオ-キシン、サイトカイニンと相互作用を示すものの、ジベレリンとは相互作用を示さない特異な生理活性物質の存在が明かとなった。今後、これらの活性物質のモクレン科植物における分布、地理的、季節的変異を調べることによって、モクレン科植物の分類に対して新たな情報を与えることが出来るものと思われる。
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