1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63480017
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Research Institution | University of Osaka Prefecture |
Principal Investigator |
桃谷 好英 大阪府立大学, 総合科学部, 教授 (60079069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 健助 大阪府立大学, 総合科学部, 助手 (10209942)
植田 邦彦 大阪府立大学, 総合科学部, 助手 (60184925)
上田 純一 大阪府立大学, 総合科学部, 助教授 (40109872)
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Keywords | アイソザイム / 化学分類学 / 分子系統樹 / 木本性多心皮群 / モクレン属 / モクレン科 / ザイモグラム |
Research Abstract |
本年度は、電気泳動法と活性染色法を用いたアイソザイムの検出技術を用いてモクレン科植物の系統関係を明らかにすることを目的として研究を行った。 モクレン科植物のアイソザイム分析を行うためには、酵素活性を著しく阻害するフェノ-ル性物質を除去する必要があった。その為、ポリビニルピロリドンを用いフェノ-ル性化合物の夾雑を除くと共にイオン交換樹脂カラムクロマトグラフィ-を用い、酵素活性を失なうことなく迅速かつ簡便に粗タンパク質を得る方法を確立した。この方法を用い数種類の酵素についてそのザイモグラムを予備的に調べた結果、地理的変異および季節的変異はほとんどないことがわかった。次に、モクレン科を代表する4種、すなわち、モクレン属ハクモクレン亜属ハクモクレン節のハクモクレン、同コブシ節のコブシ、ホオノキ亜属のタイサンボク、およびユリノキ属のユリノキ、を中心に多種類の酵素のアイソザイムの分析を行ったところ、加水分解や酸化還元に関わる酵素を中心に17種類の酵素活性をザイモグラム上で検出することができた。この内、イソプロパノ-ル活性についてはモクレン科植物においてこの方法で初めて検出できたものである。ザイモグラムをその等電点に従って定性的に表し、異なる2種間でのアイソザイムの出現頻度の違いを距離行列として算出した。この内、アイソザイムパタ-ンの変異性が大きいパ-オキシダ-ゼおよびス-パ-オキシドジスムタ-ゼは遺伝距離の解析から除いた。その結果、ユリノキが最も早く、そして次にタイサンボクの分化が起こり、それ以後にハクモクレンとコブシが分化したことを示す分子系統樹が得られた。この結果は、形態分類によって得られた系統関係の結果を支持する。
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