1989 Fiscal Year Annual Research Report
果実の人工生産を目的とした果実肥大生長機構の基礎研究
Project/Area Number |
63480035
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
崎山 亮三 東京大学, 農学部, 教授 (70011955)
|
Keywords | 果実 / 肥大生長 / 膨圧 |
Research Abstract |
本研究では、植物体から切り離したキュウリの幼果に対して、果柄をつうじて養分液を圧送し、人工的に果実の生長を引き起こそうとしているが、これまでのところ、大きくしかも持続的な生長は起こっていない。果実が肥大生長を行うためには細胞の膨圧が高まると同時に、細胞壁が緩むことが前提となる。今年度の研究は、養分液の圧送にもかかわらず果実の肥大が生じない点を検討するため、果実の膨圧を推定する装置を作成し、植物体に付いた状態で果実の膨圧と肥大生長の関係を調査した。 〔装置〕キュウリ果実の果頂部側に内径約1.6cmのアクリルパイプをホ-ズンドで取り付けた。そのパイプには直径約1cmの穴を開けておいた。その穴にはロ-ドセルと直結する直径1cmの円柱状ヘッドを通し、先端がパイプの内面よりも1〜2mm入ったところで固定した。そして、ロ-ドセルとパイプの相対的位置を固定し、果実が肥大して、その表面がヘッドを押したとき、圧力が正しく検出できるようにした。また、果実の果柄部側には変位計を取り付け、果実周囲長の変化を測定できるようにした。 〔結果〕果実がロ-ドセルのヘッドを押す力は果実表面がヘッドに接触すると同時に上昇し初めたが、果実がパイプ内部いっぱいになる頃から上昇の程度は弱まり、最終的には400〜500kpaの範囲で一定となった。 また、果実の肥大停止時の膨圧を推定するために、潅水を停止したところ、圧力が310kpaでほぼ果実肥大生長が停止した。その後、ふたたび潅水すると圧力はその直後に上昇を開始し、まもなく400〜500kpaで安定した。一方、果実周囲長は圧力が340kpaになって始まり、以後直線的に上昇した。
|