1990 Fiscal Year Annual Research Report
果実の人工生産を目的とした果実肥大生長機構の基礎研究
Project/Area Number |
63480035
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
崎山 亮三 東京大学, 農学部, 教授 (70011955)
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Keywords | 果実 / 肥大生長 / 膨圧 |
Research Abstract |
本研究の目的のひとつは、植物体から切り離したキュウリとトマト果実の幼果に対して、果柄を通じて養分液を供給し、人工的に果実の生長を持続させるための基礎資料を得ることであり、同時に肥大生長に対する処理の効果を記録するための装置を試作することであった。 1.単離トマト果実の肥大生長についての検討:開花後5から14日の果実を果柄及び約10cmの茎を付けて採取し、その茎の基部をMS基本培養液に3%スクロ-スを添加して作成した培養液に挿した。品種としては大果の品種(サタ-ン)と小果の品種(ピコ)を供試した。その結果、in vitroにおける果実の肥大生長は、両品種ともに、春から夏の実験では約20日間、秋から冬の実験では約10日間持続した。 生長速度は、樹上の果実の場合と比較すると、大果品種では約1/1000、小果品種では1/100であった。 2.果柄に直接培養液を供給する方法についての検討:果柄に直接培養液を圧送する方法は、果実が系の末端に位置することになるため、定圧で供給する必要があった。購入した定流量ポンプを使用する場合には、圧送した溶液を排出する経路が必要となるが、上記の茎を付けた果実試料では、茎の基部から上部に圧送し、上端で溢れさせる方法がよいと考えられた。圧送に際して、ポンプに連絡するパイプと茎との結合を各種の資材を用いて検討したが、いずれも不完全で改良野余地があった。そこで、次善の策としてポンプから供給される溶液を注射針を通じて茎の基部へと供給した。その結果トマト幼果の肥大生長が観察された。 3.果実肥大と膨圧を継時的に記録することが実験の遂行上必要となり、測定装置を作成した。樹上のキュウリ果実について測定を試みたところ、肥大の速度と膨圧は環境に敏感に反応した。中でも日照はきわめて短い間に大きな影響を及ぼすことが示された。
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