1988 Fiscal Year Annual Research Report
5SrRNAの塩基配列に基づくコリネフォルムおよび類縁細菌の系統分類学的研究
Project/Area Number |
63480057
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
駒形 和男 東京大学, 応用微生物研究所, 教授 (70013331)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 健一朗 理化学研究所, ライフサイエンス培養生物部, 研究員
杉山 純多 東京大学, 応用微生物研究所, 助教授 (80142256)
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Keywords | コリネフォルム細菌 / 5S rRNA塩基配列 / 系統分類 / 分子進化 |
Research Abstract |
コリネフォルム細菌は、好気性のグラム陽性無胞子桿菌で、ジフテリア菌のような医学上重要なものから、グルタミン酸生産菌のような産業上有用な細菌ものまで含むので、その分類は非常に重要な意味をもっている。かって混乱していた分類体系も、近年の化学分類学的研究により、「属」レベルで再構築されてきた。本研究は、コリネフォルム細菌及びその類縁細菌の化学分類学的知見を踏まえて、5SリボソームRNA(5S rRNA)の塩基配列を決定し、分子進化の見地からこれら細菌群の系統的類縁関係を明かにすることを目的としている。初年度は、コリネフォルム細菌及びその類縁細菌のなかから、代表的な10株を選び供試し、5S rRNAの塩基配列を決定した。分子進化系統樹はヌクレオチド置換率(Dnuc)を計算し、既報のデータを加えて作成した。その結果、グラム陽性細菌には二つの大きな群が存在し、DNAのGC含量と相関していた。すなわち、GC含量の高い群にはコリネフォルム細菌が含まれ、GC含量の低い群にはBacillusなどが含まれる。さらにコリネフォルム細菌は、4つのクラスターに分けられ、化学分類学的指標とよい相関を示した。今回調べたCorynebacterium diphtheriaeはC.glutamicumなどと共に第2のクラスターに、Brevibacterium caseiはB.Linesと第4のクラスターに含まれ、後者は他の3つのクラスターに比べ最も離れた進化距離をもっていた。他方、類縁細菌のうち、Micrococcus属細菌はArthrobacter属細菌に近い類縁を示し、上述の第2のクラスターに属した。また、Planococcus属などの運動性球菌とBacillus pasteuriiはGC含量の低いグラム陽性細菌に属し、他のBacillus属細菌と共に一つの大きなクラスターを形成し、GC含量の高いグラム陽性細菌に属するコリネフォルム細菌とは進化的に早い時期に分岐したことが判明した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Jin-sook,Park: Nucleic Acids Research. 16. 10358 (1988)
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[Publications] Jin-sook,Park: J.Gen.Appl.Microbiol.