1990 Fiscal Year Annual Research Report
5S rRNAの塩基配列に基づくコリネフォルムおよび類縁細菌の系統分類学的研究
Project/Area Number |
63480057
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉山 純多 東京大学, 応用微生物研究所, 教授 (80142256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 健一朗 理化学研究所, ライフサイエンス培養生物部, 研究員
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Keywords | 系統分類学 / 化学分類学 / コリネフォルム細菌 / 5S rRNA / Mycobacterium / Rhodococcus / Arthrobacter |
Research Abstract |
昨年度、好気性細菌Mycobacterium属とRhodococcus属の化学分類学的性状を中心とした表現形質を調べたが、その中の5株について5S rRNAに基づく系統分類学的解析を行なった。その結果、両属は比較的近縁であったが、これらと同じ細胞壁構造を有する通性嫌気性細胞Corynebacterium属細菌とは、おそらく科以上のレベルで独立した系統であることが明かとなった。 また、Arthrobacter属細菌について化学分類学的解析を行なった。本属で5S rRNAの塩基配列が知られているのは、基準種の基準株のみであり、それは以前に我々が決定・解析し、報告したものである。それによると本属はMicrococcus属との近縁性が示された。Arthrobacter属は、コリネフォルム細菌の中でも形態学的多様性が知られており、通常は不規則な桿菌であるが、長い培養時間の後には断列してほとんど球菌状になる。この状態では、常に球菌であるMicrococcus属細菌との形態による識別は極めて因難である。さらにArthrobacter属は化学分類学的に不均一で、この点でもMicrococcus属との識別が因難であることが知られているが、本属は1株しかない種が多く、現状では分類群の概念を明確にすることが因難と考えられた。そこで、本属に属すると思われるが特徴づけの十分になされていない株を8株収集し、その化学分類学的解析を行なった。その結果、これらの株でもペプチドグリカン架橋にグルタミン酸を含むものは不飽和型メナキノンを持つという一般則が成立したが、それぞれのアミノ酸組成とイソプレン鎖長に新しい組み合せの株が見出された。これらに基づくグル-ピングと5S rRNAによる系統分類との相関性について現在解析を行なっている。
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