1988 Fiscal Year Annual Research Report
琉球列島に分布するマングローブ樹種の集団遺伝学的解析に関する基礎的研究
Project/Area Number |
63480063
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
馬場 繁幸 琉球大学, 農学部, 助手 (30117585)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 一紘 琉球大学, 農学部, 助手 (50045126)
中須賀 常雄 琉球大学, 農学部, 助教授 (40045133)
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Keywords | マングローブ / 集団遺伝学 / アイソザイム / ザイモグラム / 種内変異 / 家系分析 |
Research Abstract |
研究代表者と研究分担者は、密接な連携をとりながら、オヒルギ、メヒルギ、ヤエヤマヒルギの3樹種を主たる研究材料とし、ヒルギモドキ、ヒルギダマシ、マヤプシキを含めたマングローブ6樹種について、研究実施計画に基づき沖縄島、西表島、石垣島を中心に研究を行った。 研究結果の概要は次の通りである。1.ポリアクリルアミド垂直スラブ電気泳動法を用い、アイソザイムのバンドパターン(ザイモグラム)を解析した。メヒルギ、ヤエヤマヒルギはパーオキシダーゼに、オヒルギはエステラーゼをパーオキシダーゼに多型がみられ、集団内および同一島内でも河川ごとなど集団間にも変異が認められた。 2.西表島船捕湾岸に分布するメヒルギ集団では、パーオキシダーゼバンドパターンの解析によって、家系分析が行われ、個体の位置的関係と家系が明かにされた。これはマングローブ樹種では、これまでに報告されたことのない、はじめての試みである。 3.ヒルギダマシではエステラーゼとパーオキシダーゼに、ヒルギモドキとマヤプシキではエステラーゼのアイソザイムバンドパターンに集団内および集団間に変異が認められたが、これら3樹種は集団が比較的小さく、同一産地(林分)では多くの個体を確保することができないので、本年度は統計的な解析をするまでにはいたっていない。この3樹種は主な分布が西表島、石垣島に限定されるが、次年度以降さらに分析集団数を増やすことによって、その変異を明かにする計画である。 4.主たる研究材料であるオヒルギ、メヒルギ、ヤエヤマヒルギについては固定プロットが設置され、プロット内の全個体の位置関係と外部形態の解析、ザイモグラムの解析が平行して行われ、統計処理が行われはじめている。 5.本年度の主な調査対象地域は沖縄島、西表島、石垣島であったが、次年度以降は当初計画に基づき、石垣島以北の島々も調査対象に加えて、研究を展開する計画である。
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