Research Abstract |
1.フィロゾーマの飼育 約2トンのFRP水槽を用いて日本産イセエビPanulirus Japonicus,ニュージーランドイセエビJasus edwardsiiおよびJ.Verreauxi,およびヨーロッパイセエビPalinuruxを飼育し幼生孵化を行わせた。孵化したフィロゾーマ幼生のうち約2,000尾を水量30l容の円形パンライトに収容し、水平的な還流をつくるように底部から給水、日本産イセエビに対しては水温25〜26°C、その他の種類に対しては18〜20°Cで飼育した。資料として初期の約1ケ月間は1日当りアルテミアのノープリウス20,000尾、以後はムラサキガイの細切肉片40〜90粒と海産珪藻で養成したアルテミア約1,500〜2,000尾を与えた。飼育水は循環式として連続使用した海産クロレラを適宜添加した。 孵化幼生は15,45,76,106,137,182日後にはそれぞれ第3,4,5,6,7,8期に成育し、生残率は65,52,46,32,26,14%であった。 2.フィロゾーマの令期 日本産イセエビのフィロゾーマについては時期を追って同じ形態のフィロゾーマ5尾を選別して500mlビーカーで個別飼育を行い、脱皮前後の形態の変化を比較した。フィロゾーマは孵化後11,22,33,42,約50,約60,約70,約80,90,100,114,約120,約130,約140,約150,約160,166,172,185日で脱皮して令を重ね第20令となった。脱皮期間は6〜14日(平均9.74日)であった。従来の記載と比較すると、第1,2令は第1,2期に一致するが、第3,4,5,6,7期においてはそれぞれ2,3,3,4令を重ねたと見なされる。形態は脱皮毎に徐々に変化するが、第3〜11令(第3,4,5および6期第1令)の特徴は第4歩脚の出現、外肢の伸長、遊泳刺毛の増加であった。第12〜17令においては、第4歩脚基節の相対的伸長が認められた。
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