1989 Fiscal Year Annual Research Report
リンパ組織における網内系細胞の比較免疫組織学的研究
Project/Area Number |
63480090
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
杉村 誠 北海道大学, 獣医学部, 教授 (40001523)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
昆 泰寛 北海道大学, 獣医学部, 助手 (10178402)
橋本 善春 北海道大学, 獣医学部, 助教授 (20091481)
鈴木 義孝 岐阜大学, 農学部, 教授 (70021699)
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Keywords | リンパ節 / 脾臓 / 網内系 / 食細胞 / 細網細胞 / S-100蛋白質 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
今年度は2種の家禽(ニワトリ、アヒル)、9種の哺乳類(モルモット、イヌ、ネコ、ウマ、ブタ、ヤギ、ウシ、ニホンカモシカ、カニクイザル)のリンパ組織における網内系細胞のS-100蛋白質、さらにそのαおよびβサブユニットの存在についても免疫組織化学的に明らかにし、それらの所見をまとめた(Jpn.J.Vet.Sci.に投稿中)。以上の研究から、鳥類リンパ組織には通常S-100蛋白質陽性の網内系細胞は検出されないこと、哺乳類リンパ組織においては胚中心内の濾胞樹枝状細胞(FDC)とTingibie-body食細胞(TMP)が各動物種に共通してS-100蛋白質を保有していることを明らかにした。哺乳類リンパ組織内の他領域の食細胞、リンパ洞内皮細胞、Tリンパ球のS-100蛋白質の保有状況には種差がみられた。特にαサブユニットの存在は(鳥類およびモルモットを除く)FDCとウシおよびイヌのリンパ洞内皮細胞のマ-カ-として有用である。 モルモットのリンパ組織にはS-100蛋白質のαサブユニットを保有する巨大樹枝状細胞(GDC)が存在する。本細胞は抗原の流入域となるリンパ節の辺縁洞下や脾臓の縁帯に局在して分布すること、抗原を一般の洞内食細胞より大量に捕捉すること、抗原捕捉後GDCのS-100蛋白質は陰性を示す様になることを明らかにした。これらの所見から、GDCのS-100蛋白質は抗原の取り込みないしはその後の反応にある役割を演じていることが推察された(解剖学会第49回中部地方会)。生後発生をみると0日齢で、形態は単純であるが、GDCはすでにリンパ器官に出現し、1週齢、脾臓では3週齢で、ほぼ成体のそれと同様の形態と分布を示していた。 本研究の過程で、ブタの胸腺内に、すでに報告されている食細胞、胸腺小体の他に、筋様細胞もS-100蛋白質陽性であることを明らかにした(解剖学会第35回東北・北海道連合地方会)。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Sugimura,M.et al.: "S-100 immunoreactive cells in non-nervous duck tissue." Avian Pathology. 18. 503-510 (1989)
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[Publications] 鳥山等,他: "ニホンカモシカのリンパ組織におけるS-100蛋白陽性細胞" 岐阜大学農学部研究報告. 54. 205-215 (1989)
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[Publications] Imagawa,T.et al.: "Morphology of blood cells in carp(Cyprimus carpio L.)." Japanese Journal of Veterinary Science. 51. 1163-1172 (1989)
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[Publications] Atoji,Y.et al.: "Immunohistochemical observation of S-100 protein in the chick non-nervous tissue." Zoological Science. 7. (1990)
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[Publications] Sugimura,M.et al.: "A comparative study on S-100 protein-immunoreactive cells in lymph nodes." Japanese Journal of Veterinary Science.
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[Publications] Atoji,Y.et al.: "S-100 immunoreactive giant macrophages in lymphoid tissues of the guinea pig." Cell and Tissue Research.