1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63480195
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
猿田 享男 慶應義塾大学, 医学部・内科, 教授 (70051571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹中 恒夫 慶應義塾大学, 医学部・内科, 助手 (90179656)
古川 智洋 慶應義塾大学, 医学部・内科, 助手 (00173526)
鈴木 洋通 慶應義塾大学, 医学部・内科, 講師 (80129494)
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Keywords | 本態性高血圧 / Na利尿 / レニン・アンジオテンシン系 / ド-パミン / Na利尿ホルモン / 心房性Na利尿ペプチド |
Research Abstract |
前年度から続けているNa利尿ホルモン(Na^+、K^+ーATPase阻害因子)の抽出に従事し、ヒトの尿180lより高速液体クロマトグラフィ-を用い、17%アセトニトリルで抽出、さらにカラム操作をくりかえし、Na^+、K^+ーATPaseを阻害する物質を抽出した。その物質は糖を含み、分子量が約733であった。Na^+、K^+ーATPaseの阻害活性は強いが、ジギタリス抗体とはわずかに反応するだけであった。現在再度ヒトの尿180lより抽出を試みており、分子量の再確認とともに、構造決定へもっていくところである。 次に、このようなNa利尿ホルモンの抽出の研究のほか、本態性高血圧患者におけるin vivoの研究として、生理食塩水負荷に伴うNa利尿状態とその際生じる諸種Na利尿因子の反応性の変化を検討した。本態性高血圧患者12名と年齢を合せた健常者7名に対し、1500mlの生理食塩水を3時間で注入してNa利尿状態を検討した。本態性高血圧患者では健常者に比しNa排泄が悪い症例がみられたが、平均値では有意差がなかった。そこで本態性高血圧患者のNa利尿反応を血漿レニン活性の高低に分けて検討したところ、高レニン群でNa利尿がつきにくく、その障害はアンジオテンシンIIの産生を阻害するアンジオテンシン変換酵素阻害薬の前投与により改善した。次に低レニン群では、高レニン群に比し利尿がつきやすかったが、低レニン群の中でNa負荷に伴って尿へのド-パミン排泄が生じ難いものでは、Na利尿反応が悪かった。心房性Na利尿ペプチド(ANP)は生理食塩水負荷に伴って高血圧患者も健常者も同等に増加し、高レニン群と低レニン群との間にも差がみられなかった。 以上の成績より、本態性高血圧患者においてNa排泄障害を生じる原因として、レニン・アンジオテンシン系の活性元進が大切であり、さらにド-パミンの作動不全も重要であるが、ANPの関与は少ないと考えられた。Na利尿ホルモンの意義については、なお検討が必要である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 古川智洋: "高血圧症における腎ナトリウム排泄に関与する因子の研究" 慶應医学. 66. 357-369 (1989)
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[Publications] 竹中恒夫: "高血圧の発症および維持における腎臓の役割ー遺伝的高血圧ラットにおける圧ナトリウム利尿曲線での検討ー" 慶應医学. 66. 1267-1281 (1989)
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[Publications] Imafuku T et al.: "Na^+,K^+-ATPase Inhibitory Activity of Fractionated Urine during Changes in Dietary Sodium Intake in Man." Endocrinolgia Jap. (1990)