1989 Fiscal Year Annual Research Report
過敏性腸症候群の病因に関する研究(運動機能と分泌機能、ならびに両者の関連についての病態生理学的検討)
Project/Area Number |
63480198
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Research Institution | Yamagata University School of Medicine |
Principal Investigator |
石川 誠 山形大学, 医学部, 教授 (40004783)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 裕一 山形大学, 医学部, 助教授
亀山 仁一 山形大学, 医学部, 助教授
高橋 恒男 山形大学, 医学部, 助教授 (40004923)
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Keywords | 過敏性腸症候群 / 直腸 / C1分泌 / 大腸運動 / 下痢 / 便秘 / 伸展反射 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に開発したヒト大腸運動機能と管腔内電位(PD)同時測定法を直腸に応用し、健常ボランティアと過敏性腸症候群(以下IBS)と比較検討した。健常者(7名)においてはPDは-20〜-40mVであった。この電位は比較的安定であったが、直腸壁の収縮に運動して増大する場合もみられた。直腸の運動は比較的まれにしか起こらず、一般に規則性にも乏しいが、極めて特徴のある収縮波がみられることも明らかになった。すなわち、10〜30cmH_2Oの圧で、3ないし4サイクルの極めて規則正しい波が10〜30分続くものである。この特徴ある一連の収縮波はしばしば70〜100分の間隔で繰り返し出現した。 次ぎに、IBSと診断された症例6例(下痢型:2例、交替型:1型、便秘型:3例)について同様の測定を行った。下痢型ではPDが-5mVと-80mVで大きく、一方、便秘型3名は0〜-30mVで、両群で差がある様に思われた。さらに症例を重ねて行く必要がある。しかし、運動に関してはIBS群と健常者群で明らかな違いを見出だすことは出来なかった。 これらの測定と並行して、大腸手術後の4例についても同様の測定を行ったが、手術内容に違いがあり、結論を出すにはさらに症例を加える必要がある。 一方で、切り出したラット遠位結腸において内圧上昇による伸展に伴う上皮CI分泌反応について検討した。その結果伸展に伴い主として粘膜下神経叢を介してC1分泌が引き起こされることが明らかになった。近位大腸についても同様の反応が見られた。これらの結果は、昨年度明らかにした大腸内バル-ンによる壁伸展に伴うPD増大反応のメカニズムにつき示唆を与えるものと考えられる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 板坂哲、芦沢圭子、高橋恒男、石川誠、鈴木裕一: "経上皮電位、内圧同時測定によるヒト大腸における分泌、運動の検討" 日本平滑筋学会雑誌. 24. 390-392 (1988)
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[Publications] 板坂哲、鞍掛彰秀、飯塚篤、白鳥圭子、高橋恒男、石川誠、鈴木裕一: "経上皮電位、内圧同時測定によるヒト大腸における分泌、運動の検討-機械的伸展刺激時の影響について" 日本平滑筋学会雑誌.
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[Publications] Satosi,Itasaka,Tsuneo Takahashi,Makoto Ishikawa,Yuichi Suzuki: "Intramural neuron-mediated stimilation of C1 secretion in the isolated rat distal colon." Gastroenterolgy.