1988 Fiscal Year Annual Research Report
逆行性軸索流を利用した運動ニューロン疾患の治療法の研究
Project/Area Number |
63480214
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山本 悌司 東北大学, 医学部, 助教授 (10106487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚本 哲朗 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (20171978)
今野 秀彦 東北大学, 医学部, 助手 (10091688)
岩崎 祐三 東北大学, 医学部, 教授 (00142927)
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Keywords | 運動ニューロン疾患 / 筋萎縮性側索硬化症 / ラミニン / 単クローン抗体 / 軸索流 |
Research Abstract |
運動ニューロンの生存・維持に必要な物質を同定し、末梢神経から導入することによって逆行性軸索流を介し、運動ニューロンに到達させ、これを運動ニューロン疾患の治療に役立てようとするのが本研究の目的である。 神経筋接合部構成基底膜の主要成分であるラミニンは、各種ニューロンに対して強力な栄養因子として作用することが知られている。また、抗ラミニン抗体により免疫組織化学的に検索すると、中枢各種ニューロンに加えて、運動ニューロンにはライソゾーム中にラミニン様蛋白が存在することが判明した。これは免疫ブロット法で分子量的19万の蛋白であり、本来の基底膜ラミニン(44万、22万)よりも小分子量であった。我々はこれをニューロンラミニンと名付け、運動ニューロンの活動性に重要な蛋白ではないかと考えられている。そこで、これに対する単クローン抗体を作製するため、EHSサルコーマ由来のラミニンを抗原として、マウス、ラットの感作を開始した。現在、基底膜ラミニンのみに反応するクローンが思い出され、その性格を検討中である。一方、脳中のラミニン様物質の特製を試みているのが現在まで、これは基底膜ラミニンと疎水性の強い蛋白である点では類似している。しかし、ヘパリンカラムに結合せず、かなり違った性格を持った蛋白とも推定された。また、かなり不安定な蛋白であり、長時間の処理によって分解され易く、特製には今、更に試行が必要と考えられる。運動ニューロンと神経筋接合部は最も密接に関連している。基底膜由来の蛋白と類似した物質が運動ニューロンに存在し、栄養因子として作用している可能性は非常に高く、それを特製し将来の治療に向け、鋭意研究中である。
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[Publications] T Yamamoto;Y Iwasaki;H Yamamoto;H Konno;M Isemura: J Neurol Sci. 84. 1-13 (1988)
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[Publications] H Suzuki;H Franz;T Yamamoto;Y Iwasaki;H Konno: Neuropathol appl Neurobiol. 14. 221-227 (1988)
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[Publications] S Kato;T Yamamoto;Y Iwasaki;H Niizuma;T Nakamura;J Suzuki: J Neurosurg. 69. 760-765 (1988)
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[Publications] T Yamamoto;Y Iwasaki;Y Sato;H Yamamoto;H Konno: Acta Neuropathol. (1989)