1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63480248
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
稲田 哲雄 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (50114038)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
夛田 順一郎 筑波大学, 基礎医学系, 助手 (40163464)
早川 吉則 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (90101740)
丸橋 晃 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (30114135)
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Keywords | 中性子線 / 高エネルギー / 深部線量分布 / 生物学的効果比(RBE) |
Research Abstract |
これまでの速中性子線によるがん治療は、深部臓器がんについては、期待された成績を挙げていない。その理由の主なものとして、用いられてきた中性子線のエネルギーが低いので、組織内透過力が弱くて、深部線量が不十分であったと考えられる。 本研究では、高エネルギー物理学研究所に設置されたウラニウムターゲットに、500MeV陽子を入射して得られる前方中性子線束を利用した照射設備を整備した。これには、十分は遮蔽設備と、多分割絞り、γ線シャッタ、照射台、線量モニタシステムなどが含まれる。この中性子線のエネルギー分布を放射化法による実測と理論計算により推定し、平均エネルギーは約40.5MeVであった。また、この分布にもとずいて線量測定パラメータを算定した。平均2.4μAの陽子線入射により、ターゲットから3.5mの10×10cm^2照射野における線量率は約16cGy/minであった。深部線量分布では、約7cmにビルドアップ深を認め、50%線量深は34cmであった。 この中性子線の生物学的効果比(RBE)を細胞不活化効果にて評価した。細胞はヒトの悪性黒色腫由来の培養細胞HMV-1、基準放射線として280kV X線およびCs-137γ線を使用した。結果は、中性子線照射による生残曲線にshoulderを示し、nおよびDqはそれぞれ7.0および2.2Gyであり、RBEはX線およびγ線についてそれぞれ1.23および1.31であり、従来の中性子線によるRBE値より有意に小さいものであった。
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