1990 Fiscal Year Annual Research Report
若年婦人における卵巣機能の骨代謝への影響とその治療に関する研究
Project/Area Number |
63480370
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
永田 行博 鹿児島大学, 医学部, 教授 (30038806)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯隈 忠仁 鹿児島大学, 医学部, 助手 (30202807)
沖 利貴 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (30107867)
|
Keywords | 骨量 / 最大骨量 / 骨量スクリ-ニング / 骨形成 / 骨吸収 / 去勢 / 妊産褥婦 |
Research Abstract |
目的:2年間の検討で,卵巣摘出婦人の骨量の減少は20歳代から30歳代までは認められず,40歳代では明らかに認められたことから,加令が影響していることが考えられる。そこで今年度は(1)去勢ラットによる加令の骨量・骨代謝への影響を観察した。さらに(2)若年婦人でカルシュウム(Ca)喪失が甚だしい妊産褥婦における骨量・骨代謝について検討した。また,(3)骨量測定装置の進歩により,精確な骨量が測定できるようになったが,スクリ-ニングにはどの測定方法がよいかを検討した。 成績:(1)去勢ラット8週令では骨量は4.4%増え,16週令では去勢前と同じ,24週令で7.9%,32週令で11.8%減少した。非去勢ラットではそれぞれ18.4%増,12.4%増,0.6%減,7.7%減であった。すなわち,若年婦人では骨形成が盛んであり,見掛け上骨量の減少が見られないだけであり,最大骨量を増やすためには両側卵巣摘出した時点から,エストロゲン補充療法をする必要があるといえる。また40歳代では骨形成能が低下し骨吸収が優位であり,骨量減少への対策がさらに必要である。(2)妊娠中の骨量は対照と比較して妊娠初期,中期,末期とも差は見られなかった。産褥期には,授乳婦の骨量は1ヵ月から有意に減少し,6ヵ月が6.5%と最も減少した。1年後も出産前の値には回復していなかった。(3)DEXA法による橈骨骨量測定法はDHA法による第3腰椎骨量とよく相関し,簡単で短時間で測定できることから,骨量のスクリ-ニングには有用である。 結論:女性の最大骨量を出来るだけ増やすように,生活環境を整備することが重要である。もし両側卵巣摘出した場合には,出来るだけ早期よりホルモン補充療法を開始する。
|
-
[Publications] 飯隈 忠仁: "骨量喪失と加令,肥満度並びに卵巣機能との関連" 鹿児島大学医学雑誌. 42(1). 85-100 (1990)
-
[Publications] 飯隈 忠仁: "特集/産婦人科における骨粗鬆症 加令および外科的去勢の骨代謝に及ぼす影響に関する検討" 産婦人科の世界. 42(8). 713-718 (1990)
-
[Publications] 折茂 肇: "研究報告ーメサルモンー下錠の骨粗鬆症に対する有用性の検討" Geriatrics Medicine. 28(9). 1275-1307 (1990)
-
[Publications] 永田 行博: "特集・産婦人科の治療マニュアル 骨粗鬆症とその治療" 産婦人科治療. 61巻増刊号. 563-565 (1990)
-
[Publications] 古謝 将一郎: "外科的去勢をうけた若年成熟婦人の骨量に関する考察" 産婦人科の実際. 39(12). 1949-1953 (1990)
-
[Publications] 永田 行博: "婦人科中高年医学の確立をーワ-クショップ「高年婦人における代謝特性」を終えて" 産婦人科の世界.