1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63480468
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川田 智恵子 東京大学, 医学部, 助教授 (60010013)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 亨 東京大学, 医学部, 助手 (80174936)
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Keywords | 若年糖尿病患者 / 食事療法 / 運動療法 / 血糖自己測定 / 自己認識 / 家庭環境 に対する心理的反応 |
Research Abstract |
若年糖尿病患者のほとんどはインスリン依存性糖尿病患者であり、食事療法、運動療法の他にインスリン注射が不可決である。かような慢性疾患をもった中・高校生が、療養と社会生活を両立させることが出来るために必要な援助法を明らかにすることは重要である。 本研究は、本来、糖尿病のごとき慢性疾患をもった中・高校生に特異な自己認識、家族環境および疾病に対する心理的反応が存在するか否かを明らかにした上で、糖尿病の中・高校生について、それらの心理的反応と療養行動の関係を検討することにしていた。しかし、本年度は研究費の交付時期との関係で、一般中・高校生の調査の結果分析が現在はじまったばかりなので、糖尿病患者調査のみの報告になる。 糖尿病患者調査の対象は某大学小児科に通院する糖尿病患者である。調査項目は、自記式として1.属性、2.社会経済的因子、3.心理的反応(自己認識、家庭環境、病気の及ぼす影響、糖尿病適応)、と家族援助に対する認識があり、さらに主治医からの患者の療養行動と臨床データがある。 調査出来た患者中12-19才の中・高校生は59名(当該年齢の患者の92%)であり、H_bA_1の値は平均12.1であった。 食事療法、運動療法、血糖自己測定の実施状況は、「よく守っている」は順に、24%、8%、27%といずれも低率だった。実施状況は患者の性・年齢とは関係なく、血糖自己測定のみH_bA_1とわずかに相関があった。また三つの実施状況間には相関が認められたが、心理的反応との関係は異なっていた。食事療法では、「家族が一緒に外出することが多い」、「家庭のきまりが厳しい」など、家族の意識や行動が統一的だと考えている者によく守っている者が多い。運動療法をよく守っている者は、自身を努力家、精神的に強い人間と考えていた。血糖自己測定を守っている患者は、「家族に趣味がある」、「両親に理解がある」など、自身の家族に精神的ゆとりや包容力があると考えていた。
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