1989 Fiscal Year Annual Research Report
マウス及びヒト細胞の細胞分化に関与する細胞内因子の研究
Project/Area Number |
63480509
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Research Institution | Inst. of Applied Microbiol. University of Tokyo |
Principal Investigator |
大石 道夫 東京大学, 応用微生物研究所, 教授 (00126004)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 利雄 東京大学, 応用微生物研究所, 助手 (60201208)
野村 慎太郎 東京大学, 応用微生物研究所, 助手 (80159087)
鮎沢 大 東京大学, 応用微生物研究所, 助教授 (00142109)
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Keywords | 分化 / DIF-III / herbimycin A / genistein / ST 638 |
Research Abstract |
マウスフレンド細胞の分化において3種のタンパク質因子(DIF-I,DIF-II,DIF-III)が関与しているがDIF-IとDIF-IIからDIF-IIIがin vitroで生成する再構成系を確立した。DIF-IIIの生成と同時にDIF-Iが消失したがDIF-IIよりDIF-Iが修飾を受けDIF-IIIに変換するものと思われる。上述した試験管内でDIF-IIIを生成するin vitroの反応は脱燐酸化阻害剤Na_3VO_4やZnCl_2によって阻害される。又DIF-Iをアルカリホスファタ-ゼ、ウシ心筋プロティンホスファタ-ゼで処理してもDIF-IIの関与なしにDIF-IIIが生成した。これらのことからDIF-IとDIF-IIとの共役反応には脱燐酸化反応が含まれることが推定される。以上の結果よりDIF-Iが燐酸化タンパク質でありDIF-IIは特異的なプロティンホスファタ-ゼである可能性を強く示唆している。更に最近見出されたチロシンキナ-ゼ阻害剤herbimycin A,genistein,ST638を用いた分化誘導の結果これらの薬剤はフレンド細胞の分化を引き起こし更には細胞内にはDIF-IIIの誘導を引き起こした。又これらの物質は胚性腫瘍細胞(F9)の分化も誘導した。これらの事実から分化のプロセスには蛋白質のチロシン残基の脱燐酸化が関与していると考えられる。一方蛋白質のセリン・スレオニン・チロシン残基の燐酸化についてはprotein kinase C及びsrcなど増殖関連遺伝子産物の関与が実証されその生物的意義が明らかになりつつあるがこれらの蛋白質の脱燐酸化反応の存在及びその生物学的意義については全く不明であった。上述の我々の研究の成果を細胞の分化においては特異蛋白質の燐酸化-脱燐酸化反応が関与ししかもこの反応が末端分化のモデル系であるフレンド細胞の分化のみならず胚分化のモデル系であるマウスF9細胞の分化においても関与していることが明らかになった。このことは多くの細胞分化における共通反応が特異蛋白質の脱燐酸化であることを強く示唆しているものである。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Yokota,H.,M.Takahashi,T.Iwasaki and M.Oishi: "A tissue-specific change in repetitive DNA in rats." Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 86. 9233-9237 (1989)
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[Publications] Oishi,M.and T.Watanabe: "The early reactions and factors involved in in vitro erythroid differentiation of mouse erythroleukemia(MEL)cells." In“Mechanism of Differentiation"CRC Press.
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[Publications] Watanabe,T.,T.Shiraishi,H.Sasaki and M.Oishi: "Inhibitors for protein-tyrosine kinase,ST638 and genistein,induce differentiation of mouse erythroleukemia cells in a synergistic manner." Exp.Cell Res.183. 335-342 (1989)
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[Publications] Kaneko-Ishino,T.,T.U.Kume,H.Sasaki,M.Obinata and M.Oishi: "Effect of c-myc gene expression on the early inducible reactions required for erythroid differentiation in vitro." Mol.Cell Biol.8. 5545-5548 (1988)
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[Publications] Watanabe,T.,S.Nomura,T.Kaneko,S.Yamagoe and M.Oishi: "Intracellular factors involved in erythroid differentiation of mouse erythroleukemia cells." In“The status of differentiation therapy"Raven Press. 45. 215-228 (1988)
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[Publications] Oishi,M.: "Induction recombination related functions(SOS functions)in response to DNA damage." In“Recombination of Genetic Material"Academic Press. 445-491 (1988)