1988 Fiscal Year Annual Research Report
沿岸海域の生産力を高めるための鉄の役割に関する研究
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63490002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松永 勝彦 北海道大学, 水産学部, 教授 (90001619)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 勲 北海道大学, 水産学部, 助手 (00195455)
梶原 昌弘 北海道大学, 水産学部, 教授 (20001604)
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Keywords | 鉄の還元 / 基礎生産力 / プランクトン / 食物連鎖 |
Research Abstract |
噴火湾でのスプリングブルームの起こる2-4月にかけて、一週間に一度観測を行った。鉛直混合の活発な2月では海底土を巻き上げることにより、鉄粒子が表層においても高濃度に観測された。クロロフィルから、3月中旬より徐々にクロロフィル量が高まると同時に溶存のFe(II)が検出され始めた。ブルームのピークは4月初旬で終焉した。Fe(II)も同時に検出されなくなった。粒状鉄を還元すると考えられるシスチンは数μM検出された。その後鉄を還元出来る有機物について、種々の検討を加えたところ、COOHとOH基を有するオキソ酸化合物(糖酸)によっても鉄が還元されることが明らかとなった。これらが海水中にどの程度溶存しているか等については今後の検討課題である。がシスチンよりも高い還元率を示している。なお、シスチンの還元機構は次のように推定された。シスチンが紫外線の照射により不安定なシスティンに変わる。このシスティンが鉄を還元していることが明らかとなった。なお、液クロによりシスティンの存在を確認した。鉄増殖礁が既に5基沈設している、えりも町沿岸域で2度の観測を行った。鉄増殖礁は直径12mmの鉄棒のワクに自然石を詰め込んだものである(2m×2mの三角垂)。鉄そのものは水中の酸素でまず溶存のFe(II)として溶出する。増殖礁を中心に流向を測定後、Fe(II)の測定を行ったところ、40-50mにわたり数μg/1のFe(II)が検出された。流向は時間、日によって変動するため、増殖礁を中心に40-50mの範囲に渡りFe(II)が供給されていることがわかった。Fe(II)基礎生産力に及ぼす効果について、室内実験を行っているが植物プランクトンの細胞一個当たりどの程度の溶存鉄を摂取しているのか不明であり、目下^<59>Feを用いて、必要量の室内実験を行っている。さらに、植物プランクトン数を10^5cells/mlまで高め、溶存鉄の取り込みを行っている。
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Research Products
(2 results)