1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63510222
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
小笠原 好彦 滋賀大学, 教育学部, 教授 (00000480)
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Keywords | 居館 / 防御施設 / 柵 / 濠 / 土塁 / 祭祀遺構 / 首長 |
Research Abstract |
1 古代豪族の居宅遺跡のうち、古墳時代の居館遺跡は30数個所が発堀されている。今年度は居館遺跡が集中して見つかっている関東地方の群馬、栃木県の両地域の居館遺跡を重点的に検討し、資料収集を実施した。群馬県では三ツ寺I遺跡、原之城遺跡、荒砥荒子遺跡、梅木遺跡、丸山遺跡を踏査し、栃木県では成沢遺跡、下犬塚遺跡の現地踏査を行った。これらの資料からみると、大型居館の三ツ寺I遺跡、原之城遺跡、中型居館の荒砥荒子遺跡、成沢遺跡、下犬塚遺跡、小型の丸山遺跡に分けることができる。この大型、中型、小型は外郭施設、内部構造にも質的な差異を含んでいる。大型居館は堅固な外郭施設とともに、内部の機能分化がみられ、空間構成は複合構成をとる。また中型は複合構成のものと単一構成のものとがある。小型は単一構成がとられている。 古墳時代の大型居館では、祭祀遺構があり、祭祀遺物が多量に出土する。しかし、中型、小型ではごくわずか祭祀遺物がともなうだけで、祭祀遺構は見つかっていない。居館の存続期間は、これまでにごく短期間とみられてきたが、長短がありそうである。また周辺の古墳との関連も慎重な検討を必要とすることが現地を踏査することによって痛感した。 2 西日本、近畿地方の居宅遺跡は次年度に踏査する目的で、発堀調査資料を収集した。これには古墳時代、7世紀の資料のほか、藤原京、平城京のものがある。今年も平城京、藤原京で数回の発堀調査が実施され、新たな調査成果が公開されたので、それらを含んで、平城京、藤原京における有力官人層の居宅資料の分析を進めた。これは同時代の各地域の有力豪族の居宅資料と比較するためにも必要なことである。 なお、古墳時代の家形埴輪資料の収集は次年度に行うことにした。
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