1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63540226
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
谷藤 悃 法政大学, 第一教養部, 教授 (30060974)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上村 正康 九州大学, 理学部, 助手 (10037210)
小池 康郎 法政大学, 第一教養部, 助教授 (80195635)
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Keywords | 重陽子 / 断面積 / 編極 / 分解能 / たたみこみ法 / テンソル力 / 中間エネルギー / π-中間子 |
Research Abstract |
1.今年度は重陽子弾性散乱の理論的解析が低エネルギーから中間エネルギーにかけて行われた。特に、56Mevでは重陽子仮想励起の効果を含むCDCC計算が^<16>O〜^<208>P_6の5つの標的核について行われ、断面積、ベクトルおよびテンソル分解能の標的核依存性が何に起因するか明らかにされた。主たる要素はNear-side散乱とFar-side散乱の競合およびこれに及ぼすクーロン力の影響であることがわかった。これらの要素および仮想励起効果がスピン依存相互作用をどのように支配するかが不変振巾法に基づいて調べられた。また、^<58>Ni標的核について56〜700MeVの間で仮想励起を無視した近似で定量的計算が行われ、中間エネルギー領域ではテンソル力のうちT_R型とT_L型の散乱振巾への寄与が分離できることが示された。これを用いて、重陽子D状態はT_R型の、LS力の2次はT_L型のテンソル力を生むことが明らかにされた。このようなテンソル力の効果の分離は低エネルギーでは定量的よりは定性的に意味をもつことがわかった。また、この分離に対応してT_R型テンソル力に敏感な物理量とT_L型のそれに敏感なものを識別できることが示された。重陽子仮想分解効果のこれらテンソル力への影響は次年度の研究課題として残された。 2.ファディアエフ法の重陽子弾性散乱への応用は標的核が^<12>Cの場合について1部分の電子計算機プログラムが完成した。小池は宮川(阪大)と共に、核子-^<12>C相互作用を分離ポテンシャルの形で求め、位相差の実数部、虚数部それぞれについて光学ポテンシャルの結果を再現することに成功した。これを用いたα-^<12>C散乱の計算は次年度に残される。 3.d^^-+p→^3He+π^0反応は不変振巾法による分析が終わったので、今後の計画はこれを電子計算機を用いて定量的に解くことである。 また上村はわれわれの方法をmuon catalyzed fusionに応用した。
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[Publications] Y.Sakuragi: Nuclear Physics. A480. 361-396 (1988)
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[Publications] M.Kamimura.: Physical Review. A38. 621-624 (1988)
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[Publications] Y.Iseri.: Nuclear Physics. A490. 383-417 (1988)
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[Publications] M.Kamimura.: Journal of Physical Society of Japan、Suppl.58. 493-506 (1989)
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[Publications] M.Tanifuji.: Supplement of Czechoslovak Journal of Physics B. (1989)
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[Publications] M.Tannifuji.: Physics Letters B. 217. 375-380 (1989)
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[Publications] M.Tanifuji.: "Heavy-Ion Reaction Dynamics in Tandem Energy Region" Univarsal Academy Press、Inc., 326 115-124 (1988)