1989 Fiscal Year Annual Research Report
湖底堆積物等の永年変化と古気候変動との関連性についての研究
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63540312
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
福山 薫 三重大学, 教育学部, 助教授 (00189979)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏谷 健二 神戸大学大学院, 自然科学研究科, 助手 (30161029)
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Keywords | 古気候変動 / 第四紀更新世 / 準周期的変化 / ミランコビッチ理論 / 堆積物 / 粒度分布 / 琵琶湖 / 同位体比 |
Research Abstract |
琵琶湖をはじめとする湖底堆積物などの永年変化を系統的に調査し、過去数十万年間に対して約1〜10数万年の時間スケ-ルをもつ古気候変動について、特にどのような周期性が卓越して存在しているか研究してきた。 昨年度に引き続き、国内や海外における過去数十万年間の古気候変動に関連する各種堆積物資料(琵琶湖の粒度分析資料、南極氷床コアからの二酸化炭素、温度変動資料、米国ネバダ州からの陸上水圏内の酸素同位体資料、深海底コアからの酸素同位体資料のほか、それらの関連資料)の収集を行い、そのデ-タベ-ス化を進めてきた。 これらの各種資料に対して、時間領域テストや最大エントロピ-法によるパワ-スペクトル解析などの統計的解析を実施してきた。さらに、今回新たに開発した「拡張調和解析法」により、今まで不十分な結果しか得られていなかった低周波領域の卓越周期の厳密な値だけでなく、卓越周期の振幅および位相の値をきわめて高い精度で求めることができるようになった。 こうして得られた結果を比較検討したところ、地球軌道の長周期摂動に伴う日射量の永年変化が、やはり過去数十万年間、つまり第四紀後期更新世の古気候変動のなかに顕著に現れていること(ミランコビッチ理論)が確認された。これまで、第四紀の気候変動を特徴づけている氷期ー間氷期の大きな時間スケ-ルをもつ気候の遷移をもたらしてきたのは、十万年周期であると考えられてきた。しかし、上に述べた厳密な統計解析により、これらは12ー14万年周期の上に6ー7万年の周期成分が重なって生じていることが判明した。 このような今回初めて得られた知見などを含めた種々の研究成果に関して報告書を作成した。
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[Publications] K.Kashiwaya: "Statistical Analysis of Grain Size Distribution in Pleistocene Sediments from Labe Biwa,Japan" Quarternary Research. 30. 12-18 (1988)
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[Publications] K.Kashiwaya: "Erosional environment and grain size variation in Pleistocene labe sediments" L'Anthropologie. 94. (1990)
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[Publications] K.Fukuyama: "Quasiーperiodicity in lote Pleistocene climatic change" Journal of Meteorological Society of Japan. 68. (1990)