1990 Fiscal Year Annual Research Report
北海道日高帯の第三紀火成岩類の岩石学的・地球化学的・造構論的研究
Project/Area Number |
63540605
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
前田 仁一郎 北海道大学, 理学部, 助手 (50165643)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
在田 一則 北海道大学, 理学部, 講師 (30091408)
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Keywords | 日高火成活動帯 / 北海道 / パンケヌシ斑れい岩体 / MORB / アイスランダイト / カルクアルカリ岩 / Sr同位体 / Nd同位体 |
Research Abstract |
過年度の研究によって、日高火成活動帯にマントルからもたらされたマグマは中央海嶺玄武岩(NーMORB)と同様の地球化学的性質をもっていたということが明かとなったが,本年度はデ-タ追加によってそれがさらに補強された.今年度の研究で特に重要なことは,カルクアルカリ質の芽室岳深成岩体のうちの比較的末分化なものもNーMORBと全く区別できないSt・Nd同位体比を持っていることが明かとなったことである.カルクアルカリ質岩は一般に火成弧を特徴付ける火成岩と考えられている.これまでの日高火成活動帯の造構論においても,カルクアルカリ質岩類の産出は火成弧と考える大きな根拠であった.しかし,芽室岳深成岩体の性質は単純に火成弧と考えることの困難性を示している.また、このことはNーMORBを出発物質として,なんらかの地殻構成物質と混合させることによって,カルクアルカリ質マグマを形成しうることを示している.今年度はまたソレアイト質の層状分化斑れい岩体であるパンケヌシ岩体の活動年代を確定することを目的にRbーSr全岩アイソクロン法の適用を試みた.しかし,測定点はかなりのばらつきを示し,有意の年代を求めることができなかった.このこともNーMORBと地殻構成物質との混合作用の存在を強く示唆している.以上の検討結果はNーMORBと地殻構成物質との混合作用の解明が必要であることを示している.今年度はまた,アイスランダイト質岩の岩石化学的検討を行なった.その結果,日高火成活動帯のアイスランダイト質岩は海嶺において産出例が報告されている鉄に富む安山岩類とは明瞭に異なり,むしろ海嶺近傍のホットスポット上に産出する鉄に富む安山岩類と良く類似していることが判明した.これらアイスランダイト質岩の活動年代は現在測定中であるが,とにかく上述したNーMORBとの関連を今後検討することが必要である.
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Research Products
(1 results)