1989 Fiscal Year Annual Research Report
学習過程の導入による超高精密位置決めサ-ボ機構の制御法
Project/Area Number |
63550302
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Research Institution | TOKYO INSTITUTE OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
中野 道雄 東京工業大学, 工学部制御工学科, 教授 (80016451)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井本 文雄 東和大学, 工学部電気工学科, 助教授 (90133173)
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Keywords | 学習過程 / くり返し制御 / 負荷無反応 / 超精度制御 / 位置決め制御 / パラメ-タ変動 / 電機制御 / フィ-ドフォワ-ド制御 |
Research Abstract |
線形のフィ-ドバック制御によってシステム設計を行った場合、予期できない外乱、あるいは非線形性などの影響で目的とする精度を実現できない場合がほとんどである。これはフィ-ドバック制御の限界に基づくものであって避けることのできない問題である。これにたいして、エラ-の発生状況を分析し、誤差を強制的に零にするフィ-ドフォワ-ド信号を作りこれをフィ-ドバック制御に併用することは有用な手法と言えよう。しかしながら、適切なフィ-ドフォワ-ド信号を作り出すことは、従来極めて困難な問題であった。そこで、本研究ではシステムの動作経緯にもとずく学習によって、フィ-ドフォワ-ド信号を自動的に作り出すことで問題の解決を計っている。 この際最も問題となる点はパラメ-タ変動に対してロバスト性をあげることである。そこで昨年度は、学習を考えるに先立ちアクチュエ-タ系を取り上げ、ここでのパラメ-タ変化が系に及ぼす影響を考察し、これを零にするシステム構成を考え、今後の展開に有力な手段を得ることができた。 本年度は、昨年度の結果を基に先ずロバスト性をあげた後に、学習機能を導入した。すなわち回転系では、回転角度に依存する外乱が印加される場合がおおい。このような外乱は回転むらの原因となり、精度向上を大きく妨げる。この種の外乱の除去について、従来は時間領域でこの問題をとらえ、時間領域での繰り返しコントロ-ラを用いてきた。しかし、この方式では特定の回転速度に対する除去効果はよいが、回転速度が変わると除去効果が悪くなるなどの問題がある。そこで、この種の外乱が角度の周期関数となることに注目し、時間領域の代わりに角度領域でこの問題をとらえ、角度領域における繰り返しコントロ-ラを設計し、この種の外乱を完全に除去することができた。
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[Publications] 中野,小口,広松,古賀: "ヒステリシスフィ-ドバックによる位置決めサ-ボ系の有限整定制御" 計測自動制御学会論文集24巻3号. 24. 37-42 (1988)
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[Publications] 中野,ビチャイ・サエチャイ,松尾: "フィ-ドバック則を用いた正弦波インバ-タ" 計測自動制御学会論文集24巻7号. 24. 113-115 (1988)
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[Publications] 中野道雄: "パラメ-タ変動とアクチュエ-タ系の構成" 計測自動制御学会論文集24巻12号. 24. 125-127 (1988)
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[Publications] 松尾,武石,中野: "サイリスタ制御リアクタ形SVCのセルフチュ-ニング制御" 電気学会論文誌D分冊. 108. 734-740 (1988)
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[Publications] S.Hara,Y.Yamamoto,T.Omata and M.Nakano: "Repetitive Control System:A New type Servo System for Periodic Exogenous Signals" IEEE AC Vol.33 No.7. 33. 659-668 (1988)
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[Publications] 松尾,中野: "出力偏差の周期平均値を用いたフィ-ドバック型PWMの一方式" 計測自動制御学会論文集25巻8号. 25. 68-75 (1989)
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[Publications] 中野,松尾: "平均ゲインに着目したPWMインバ-タの制御方式" 計測自動制御学会論文集26巻1号. 26. 76-80 (1990)
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[Publications] ヴィ-チャイ,中野,松尾: "正弦波インバ-タ最適スイッチング制御のための非線形方程式の解法" 計測自動制御学会論文集26巻. 26. (1990)
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[Publications] 中野,井上,原,山本: "繰り返し制御" 計測自動制御学会, 146 (1989)